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レッドブルエアレース 2014 密着日記〜マレーシア篇〜

 

エクストリームスポーツ選手を追って世界を飛び回る映像作家の野澤邦男さん。

 

エアロバティクスパイロット室屋義秀さんを7年近く追っている野澤さんが綴るレッドブルエアレースでの帯同記。

 

いよいよ7/26〜27のポーランド戦に突入ですが、その前に前回のマレーシア戦の模様をどうぞ。

 

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RBAR2014 マレーシア戦


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マレーシア、プトラジャヤ。

首都のクアラルンプールから25kmほどにある人口7万の都市。

行政新首都として首都機能の移管がなされた場所であり、

マレーシアの政府機関施設が多く立ち並び、建設ラッシュが続く土地。

 

Red Bull Air Race始まって以来、初のアジアの地での開催とあって

アジアの中でもモータースポーツに熱い国、マレーシアが観光局を上げてレースを盛上げた。

 

しかし、5月中旬のマレーシアは雨期で、大気は不安定。

スコールが度々起きて、滞在中の5日間で晴れ間を見る事はほとんどなっかった。

大会中にも度々、雨が降り注ぎ中断となり、あわや大会中止かと思われる一場面もあった。

決勝戦もポツリポツリと水滴が落ちて来て、今回は空を仰ぐシーンが多かった。

 

そんな不安定な天気もあり波乱の予感がしていた、、、そして大会は大荒れとなった。

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今年から導入されたエンジン・ワン・メーカーのシステムはレースに変革をもたらしていた。

アブダビ戦では今まで日の目を浴びてこなかったカナダのピート・マクリードが3位入賞。

更に、前回のクロアチア戦では我らが日本のエース、室屋義秀選手が3位入賞。

そして今回ではこれまで1度も1位を穫った事のない選手が表彰台のトップに上がった。

 

ワン・メーカーになったお陰で、エンジンに投資しなくて良くなった余力を他方面に分散出来る。

2014年のエアレースは予測出来ないレース展開に心踊らされている。

 

だが、各チームは悩まされていた。東南アジア特有の高温多湿はエンジンの出力を狂わせていた。

気温は30度台半ば、湿度は80%以上。寒くて乾燥した環境を好むエンジンには、大不得意な環境。

思う様にエンジンパワーが振るわないチームが続出し、エンジン調整に追われるチームが続出した。

 

さらに空気中に含まれる水滴は機体の表面に付着して空気抵抗を変える。

機体の操り方も微妙に変わるそうである。

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エンジン以上に影響がでるのは人間かもしれない。

立っているだけで吹き出してくるおびただしい量の汗。

日陰で休んでいても体から水分が奪われて行く。

事実、私の服も数時間ほどで上下ともびっしょりになってしまった。

分厚いGスーツを纏わなければいけないパイロット達にとっては過酷な戦況だ。

 

選手達の待機場所であるハンガー、当然だが機体の中にエアコンは存在しない。

エンジン同様に扇風機、濡れタオルで体を冷やす必要がある。

中には水を使った冷却スーツを持ち込んで体を冷やすパイロットたちも現れたぐらいである。

 

幸か不幸か風もほぼ無かった。クロアチア戦で選手達を悩ませた風は、

ここマレーシアでは無風状態に近く、風に流されてパイロン・ヒットという事例も皆無であった。

 

こうしたマシーンパワーでは太刀打ち出来ない自然との勝負は、分析力、適応力、経験値が求められる。

そもそも地面との設置面がない3次元空間で戦っている以上、空気を読めなければ勝つ事はできない。

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意外にも今回その中で絶不調だったのは2009年、2010年大会のチャンピオンであるイギリスのポール・ボノムだった。

結果はファイナル4にも進出至らずの5位であった。

大会の練習中から常にマシーンの調子が出ずに上位に食い込む事が出来なかった。

民間航空機パイロットで、冷静かつ沈着のジェントルマンにも弱点があったようだ。

試合後は悔しそうに表彰台を見つめていた。

 

そして表彰台に上がったのは3位にオーストリアのマット・ホール。

ホールはカナダのピート・マクリード、室屋義秀と同期で2010年のルーキー時代に3位に上りつめた元空軍出身の実力者。

 

2位はオーストリアのハンネス・アルヒ。アルヒは参戦以来、ポールとデッドヒートを繰り広げる宿敵である。

 

そして1位の座を獲得したのはイギリスのベテラン・パイロット、ナイジェル・ラムである。

ナイジェルは過去44レースに参戦し、6度表彰台に上がったことがあるが、1度も1位の座を獲得したことがなかった。

そして、今回のマレーシア戦で初の表彰台1位に上がった。

決勝戦でハンネス・アルヒがナイジェルのタイムを下回った瞬間、ラムの勝利が確定した。

感極まった57歳のパイロットは涙を浮かべていた。

2005年に初参戦を果たし、初めて1位の座。パイロット、チーム、クルー、観客を含めて全員が彼を祝福した。

 

何が彼を勝利へと導いたのかは定かではないが、マレーシアでエアショーを幾度か行った事のある経験値が

彼にマレーシアでの空気を読む力を与え、1位へと押し上げたのかもしれない。

 

次回、どんな波乱が待っているかお楽しみに。

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いよいよレッドブルエアレースはポーランドでの第四戦に突入です。

日本を代表する室屋選手にご注目ください!

前回のクロアチア篇はコチラ

 

レッドブルエアレース 2014 密着日記〜クロアチア篇〜 

 

<室屋義秀>

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