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LAND ESCAPES 〜GOTO AKIの地球の表情を見つめる目〜 第三回

 

10453204_693645580690851_928321626_n(写真:「LAND ESCAPES」より ©GOTO AKI)

先日写真展のダブルヘッダーが終わったばかりの

独自の視点で風景を切り取る旅するフォトグラファーGOTO AKI さんとの

突撃!雑談インタビュー。

今回は第三回目。

 

 

道具の話から働く姿勢、生き方、態度経済のことなど、

GOTOさんの人生観を熱く語っていただきました。

 

(文章・写真=池ノ谷英郎/聞き手=山本喜昭)

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山本>

GOTOさんにとってカメラは道具?

道具って呼んでいいんですかね。

 

 

GOTO>

道具ですね。

外付けハードディスクのみならず外付けの目だと思っています。

でも、不思議なもので最初は自分と物という関係だったのですが、

今は自分で何か撮るときに自分の目がレンズになっているんですね。

広角レンズからズームまでの要素が分かっているので、

今、山本さんを見るときに何ミリ(のレンズ)だったら

こう撮れるとかシミュレーション出来るわけです。

上から光が来てこうはね返ったりとか、

そういうシミュレーションをパッと風景を見たときも出来るんですね。

 

 

山本>

道具が身体の機能拡張ってよく言うじゃないですか。

テニスプレーヤーのラケットだったり、自転車乗りなら自転車だったり。

カメラももちろんそうなんだけど、それを通り越して

自分の中にカメラの要素が入ってきているということですね?

そのお話はとても興味深いです。

 

 

GOTO>

以前、ツール・ド・フランスに出ている選手に

話を聞いたことがあるんですけど、

自転車を自分で漕ぐという意識は無くて、

自転車が自分の体とつながって勝手に動いてくれて、

自分はそれに身を預けているだけだって言うんですね。

だから自転車とのコミュニケーションというか

一体感だけを意識していれば一番速く走れるんだと。

変に自分で何かしようとすると自転車のポテンシャルを下げる方向に

行ってしまうんだと。

あー、面白いなって思いましたね。

 

 

山本>

道具と戦わないってことですよね。

 

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GOTO>

そうですね。道具と戦わない。

アマチュアカメラマンの方はカメラと戦うわけです(笑)

いくらで買おうかとか設定どうしようかとか。

左脳を使っている間に右脳のアンテナはどんどん短くなって

本来撮れるはずのものが撮れなくなっちゃっていることが

実はあるんじゃないかと思うんです。

内在化してしまったほうがいい。

僕もこれ(カメラ)にはお世話になっていますけど、

道具は何でもいいというか、買い換えるときも変な思い入れは無いです。

写真家としてはカメラの所有台数は少ないんじゃないかと思います。

 

 

山本>

ちなみに普通に歩いているときもカメラの目になっているんですか?

 

 

GOTO>

そうです。フレームの目になっています(笑)

 

 

山本>

(笑)それは日常生活に支障をきたさないですか?

 

 

GOTO>

もう当たり前になっちゃってますからね、その世界が。

今、山本さんを見たら帽子のつばで影が落ちてるから

少し(つばを)上げてくれたらいいなとか(笑)

ランドスケープとして見てます。

 

 

山本>

女性とデートしているときに怒られそうですね。

そんな見方ばかりしていると(笑)

 

 

GOTO>

いいところしか見ないようにしています。

さっきも言ったように粗探しはしない(笑)

そうじゃない写真が撮れちゃったときは消しちゃったり。

 

 

山本>

なるほど(笑)

 

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GOTO>

明日から九州に行くんですけど、阿蘇とか霧島とか雲仙とか九重とか

九州の背骨にあたる部分に火山があって、

九州本土ではその一番南に桜島があります。

で、その周りには水がきれいなところがいっぱいあって。

火山って人間の命とはかけ離れた何万年もの時間を経てそこにあるわけで、

それがまさに地球の表情なんです。

みんなそこの上に家を建てたりして普通に生活をしているんですよね。

僕らは歴史の教科書で

「エジプトのピラミッドは紀元前から入れて4,000年経ってますよ」

って知って

「おー!すごいな!」って思ったりするんですけど、

そう言っている彼らは数万年、10万年の堆積物の上に

住んでいるわけですよ。

そう思うとすごいのレベルが違うことに

意外とみんな気づいていなかったりするのかなと思って、

それを写真で伝えるのも写真の面白さのひとつかなって。

 

 

山本>

なんかこうレイヤーが違うというか、

僕らが普段暮らしている視点とレイヤーと違うんですよね、きっと。

 

 

GOTO>

そうですね(笑)

 

 

山本>

一番最初の話で、旅に行くまではサラリーマンになることが

当たり前だと思っていたけど実はそれは違ったって話がありましたけど、

自分が普段見ているところから、ちょっと外してみるのも

大事なのかなって思いますね。

 

 

GOTO>

日本がここ20年元気が無くて、要はお金の回りが悪くなったって

ことだと思うんですよね。

先日、お会いした時に貨幣経済がちょっと疲弊したって話がありましたけど。

これから若い人が減って超・高齢化社会でどうやっていくかと考えたとき、

昔やっていた物々交換じゃないけど、

態度で経済を回していく「態度経済」って言葉がありますよね、

お金をくれるからやりますよ、ではなく、

何か先にやってしまう、お金は後からでもいいし物が来るかもしれないけど、

まずは行動して見せてあげるという

「態度経済」がこれから大事かなって思います。

風景を撮るときも僕は自腹で行くことがすごく多いんですけど、

後々写真雑誌に載ってギャラをもらうこともあるし、

個展で作品が売れることもあるんです。

なんだかんだ先に面白いと思ったものを見せることで

後から付いてくることもあると思います。

旅に出ようかとか何かやりたいとか躊躇して悩んでいる人が

多いんですけど、まずやっちゃうことがすごく大事だなって思うんです。

 

 

山本>

もう、考えてばっかりいないでやっちゃいなよ!みたいなね。

態度経済の話はホントそうですよね。

それこそ時間軸を広げると昔はそれの方が当たり前だったんですよね。

何かをしてくれるからありがとうって渡す、

そのありがとうを渡すのに便利なものがお金だというだけで。

 

 

GOTO>

そうですね。東京・大阪・福岡・札幌・名古屋・仙台といった6大都市だと

貨幣経済ありき、キャッシュフローありきの考えですけど、

僕、つい3日前まで北海道に行っていて、

ニセコで知り合いにあった時にどんなライフスタイルか?

って聞いたんですけど、

やはり雪が深いところだから車がしょっちゅうスタックするんだそうで。

そうするとどこからか人が出てきて無償の行為で押してくれたり。

東京から移住してきた人なので

「どうもありがとうございました」って言うと

「いや、そんな言葉は要らない」と言われるそうなんです。

普段から食べ物を持っていったり持ってこられたり、

いわゆる貨幣の基準で言うと給料のすごく安い地域だし、

どうやって生活するの?っていう話があるんだけど、

日本の地方の多くって食べ物を融通しあったり労働力を提供したり、

皆さんそれぞれ仕事はありつつ町のコミュニティのひとつとして

パブリックな役割を皆さんが持っている。

マルチタスクが当たり前にあるですよね。

都会の人はいくつか複数仕事があるのが新しいみたいなことを

言う人がいるんですけど、地方に行ったらそれは当たり前なんですね。

それを貨幣に置き換えられるかどうかは別として。

そういうのは昔からあったんだから、

そこは再評価してもいいんじゃないかなと思うし、

態度経済って言葉がその取っ掛かりになったらそれはそれで面白いですね。

行き詰ったら地方に行ってそういうのを見るってのもいいと思いますね。

 

 

山本>

そうですね。こうじゃないと生きられないなんてことは無いんですよね。

 

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GOTO>

一番最初の話になりますけど、会社員として飯食っているのは

世界の中で3000万〜4000万人しかいなくてむしろマイノリティなんだから、

もっとみんな自分のやりたいことをまずやってしまう、

それに対してポジティブな国の空気作りというか

「変なやつ」っていう変なレッテルを貼る前に

それが当たり前だよっていう空気作りをしていきたいなと思うし、

僕はそれを写真でやりたいと思っています。

 

 

山本>

サラリーをもらって働いていたとしても

やりたいことをやれる環境を作ってやることも場合によっては可能ですよね。

まず、そう思っているかどうかっていう

マインドセットがあればそう出来るだろうし、

もしそれが自分の力だけでは出来ないとなれば仲間を募るのか、

直談判をするのか、もうだめだと思ったらやめるのか、とかね。

やめるやめないという理論よりも、

そういうもっと根本的な「自分が何を為していくのか」っていう、

まずはやってみたらってことが大事ですよね。

 

 

GOTO>

そうですね。

それを支えるのがメンタルとフィジカルなんですよね。

そこは外せない。

心の健康と体の健康があって好きなことがある。

そう思いつつもなかなか出来ない人が

いっぱいいるのを分かっていながら言っているんですけど、

とりあえず出来る人からやっていくということで。

 

 

山本>

お金は生活するうえで大事だけれども、

それが無いととかあらかじめ契約が無いととか、

この金額でやってって言われたからとか、

そういうことだけを追いかけているとしんどいですよね。

 

 

GOTO>

行き詰るんですよね。

 

 

山本>

とはいえ、好きだからといってそのことだけやっていても

うまくいかないというジレンマももちろんあって、

バランス感覚がすごく重要だなって思いますよね。

環境づくり、自分でやりたいことをやる環境を作るのも大切ですね。

やるだけではどこかで行き詰ってしまう。

 

 

GOTO>

いい言葉ですよね。そう、環境づくりですよね。

写真を撮っていても、

「これ、どこどこで撮ったでしょ」

ってしてやったりな顔で言う人もいるんですけど、

その日その場でその光で撮ったのは僕だけだよって話になる。

そのシャッターを切るために飛行機のチケットを手配して

宿を予約してレンタカーを手配してっていう、

それも環境づくりのひとつであって、

写真を撮るっていう行為は全体から見たら10〜20%くらいなのかな

って思いますよね。

 

 

山本>

これに行くためにほかのスケジュールを調整したりとか、

この資金をどう回していくかとかね。

 

 

GOTO>

写真を見る皆さんにお願いしたいのは、その裏にある膨大な時間と手間ですかね。

それをちょっとだけ汲み取っていただいた上で

コメントしていただきたいなと(笑)

 

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山本>

ちょっとやさしく見てね、みたいな(笑)

 

 

GOTO>

言葉に出来ないと分からないって言われちゃうんですよね。

個展をやっていると圧倒的に男性のお客様から

そういう言葉をいただきます。

 

 

山本>

いわゆる芸術、中でも現代アートって特に文脈の中で

どう成り立っているかってすごく重要で、それってロジックなんですよね。

 

 

GOTO>

ロジック、ロジカルなゲームですよね。

 

 

山本>

いわゆる日本の芸術家って言われる人の大半は、

自分が作りたくて感情に訴えかけるものを作り続けているわけで

経済的には大変なわけですが、

本質的には見て「うわー!」って思うかどうかって大事じゃないですか。

文脈じゃなくて。

 

 

GOTO>

ドキュメンタリーであろうが商業写真であろうが芸術写真であろうが、

見た瞬間にどうかっていうのが大事で、

現代美術だったらロジカルなゲーム性が背骨としてあるかどうかを見ていくし、

商業写真であればビジネスにつながる要素があるかを見るし、

アマチュアの方ならコンテストとしてどうかっていうのを見るし。

それぞれ入口として引き付けるというのはどれであっても

大事だと思いますよね。

そこから先は作者の生き様によって変わってくるので。

だから美しさとか面白さってのは理屈としてはすごく大事なのかな、っ

て思いますよね。

 

 

山本>

どういう触れ方にしても、何かしら心が動くというのは大事ですね。

 

 

GOTO>

スルーされるのが一番嫌ですね(笑)

個展をやっていても「サービスセンターはどこですか?」

って聞かれるのが一番しんどいです(笑)

 

 

山本>

それはしんどいですね(笑)

 

 

GOTO>

山本さんがさっきおっしゃっていましたけど、

最初は風景写真ってそんなに面白くないというか興味ないって

おっしゃる方も結構いて、そこでなんか引っ掛かるなって

言ってくださる方がいたときに

人の顔の話とか表情の話をすると腑に落ちてくださるというか

納得していただけるようです。

観光パンフレットみたいな写真は

それをメインでやっている方にお任せして、

僕は別のもので日本の表情を切り取って

世界の人や日本の人に見せたいですね。

 

 

山本>

日本人に見せるって重要なことですよね。

その場にいる僕たちは気づかないですからね、日本のよさを。

 

 

GOTO>

よく行く場所で「ここはきれいですよね〜」

っておばちゃんに言ってもポカーンとしているんですよ。

「水きれいですね〜」とか言うと「昔はもっと透明だったんだよ」

って言うわけです(笑)。

よく子供の頃ってもっと目がピカピカしていて

年を取ると彩度が落ちるって言いますよね、

物の見方が。

そういうのもフィジカルなことがあるのかなって思いますね。

 

 

山本>

フィルターがいっぱい出来るんですかね。

 

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GOTO>

子供ってきれいな景色とかきれいな花とかおいしい料理があると

上から覗き込もうとするんですよ、ガバッと。

大人は引いてみて言葉に置き換える作業をしちゃってる。

子供はコトバより体が先に動くんでしょうね。

あれを風景を撮るときに大事にしたいと思っているんです。

驚く準備をしているみたいなところがあります。

 

 

山本>

子供に戻っている、みたいな。

 

 

GOTO>

まったく子供にはなれないので、決め事をしないで見に行くってことですね、

フラットな気持ちで。

そうすると目に飛び込んで来たり引っ掛かってきたりするのでガバッと行ける。

 

 

山本>

そういう心理状態はどういう風に保っているんですか?

 

 

GOTO>

飛行場が好きなんですが、今まで何百回も乗っているのに

飛行場に行くといまだにスペシャルな感じというかワクワクしますよね。

飛行場ってのはマインドリセットするのにいい場所で、

乗った瞬間に気持ちは旅に向かっているというか。

無理やり自分で何かをするというよりは

飛行機とか乗り物の恩恵というのは大きいですね。

 

 

山本>

その場に行く前のスイッチポイントとしてですね。

 

 

GOTO>

スーツケースを預けた瞬間に「よし!」ってね。

その時点でもうリセット完了してますよね。

天気が悪すぎて正直へこむときもありますけど、

そういう時は車で暗くなりながらきゃりーぱみゅぱみゅとか聞いてます(笑)

 

 

山本>

(笑)

 

 

GOTO>

中田ヤスタカさんにもホントお世話になってます(笑)

 

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いかがでしたか?

GOTO AKIさんとの雑談インタビューは次回いよいよ最終回です。

旅をしながら地球の表情を浮かび上がらせるGOTOさんの作品の秘密が

内面や道具、身体性のお話などを通して少しわかった気がします。

次回をお楽しみに☆

 

これまでの記事はコチラ↓↓↓

 

 

LAND ESCAPES 〜GOTO AKIの地球の表情を見つめる目〜 第一回

LAND ESCAPES 〜GOTO AKIの地球の表情を見つめる目〜 第二回

 

 

 

スクリーンショット 2014-06-10 0.49.53

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<GOTO AKIさんのプロフィール>

1972年神奈川県生まれ。

上智大学・東京綜合写真専門学校卒。

1993年の世界一周の旅から現在まで53カ国を巡る。

写真集「LAND ESCAPES」(traviaggio publishing)が東京都写真美術館、Amazonなどで販売中。

2015年版キヤノンカレンダーと新作写真集「LAND ESCAPES – FACE」を制作。

2015年初より全国のキヤノンギャラリーにて個展開催。

http://gotoaki.com

 

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 info@cael-utd.com

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