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LAND ESCAPES 〜GOTO AKIの地球の表情を見つめる目〜 第二回

10425576_693645404024202_483485855_n(写真:「LAND ESCAPES」より ©GOTO AKI)

 

雑談の中に真実が宿るというコンセプトの突撃!雑談インタビュー。

今回は独自の視点で風景を切り取る旅する写真家・GOTO AKIさんの第二回目。

GOTOさんの作品「LAND ESCAPES」に対する想いをググッと語っていただきました。

ある種のアスリートである旅するフォトグラファーGOTOさんの人柄にも注目です。

 

(文章・写真=池ノ谷英郎/聞き手=山本喜昭)

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山本>

GOTOさんが写真家になったきっかけは?
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GOTO>

1993年の大学4年生(21歳)の時に世界一周の旅に出たんですけど、

大学を休学して行ったのでその時点で大学に5年間行くことが

確定していたわけですけど(笑)

男子女子に関わらず20歳を過ぎたら真剣に将来のことを

それなりに考える時期ではあると思うんですけど、

僕もそういう気持ちをどこかに持ちながら世界一周に出たわけですね。

大学が経済学部だったので先輩はというと

銀行とか証券会社とかに就職していたんですけど、

失礼なんですけど、僕はそういう職種や先輩に

そんなに魅力を感じなかった。

割とカチッとしたところに入ってしまったなっていう

印象を持っていたんです。

旅に出ると仕事をしてなくて何して生きているのかって言う人が

いっぱいいるわけですよ。

むしろそっちが大多数。

世界の人口が今70億くらい?当時はもう少し少なかったと思うんですけど、

日本のサラリーマンの人口が3000万〜4000万っていわれていたので、

比率でいうと地球上でほんのちょっとの人だけが

サラリーマンというライフスタイルであると、

そこがマジョリティみたいな錯角を植えつけられているけれど、

海外に出た瞬間にそれは嘘であることがわかったわけです。

サハラ砂漠に行ったときに、当時27〜28歳だった菊池さんという

フリーのカメラマンに出会いまして、

髪の毛はボサボサだしヒゲもちょろちょろ生えてるし、

お金は無いし彼女は逃げてくしとか、

あんまりいいことなさそうな話をするんですけど、

年上のお兄さん特有の目がギラギラしたかっこよさを持っていて、

それがドキュンと来たわけです(笑)

で、写真家って大人になっても砂漠に行ったり、

バックパッカーの延長のような人生を送れるのかな

って錯覚を与えてくれたんですね。

それが写真を撮るライフスタイルを始めてみたいなと思うきっかけです。

 

 

山本>

旅はその世界一周の前にもいろいろ行っていたんですか?

 

 

GOTO>

旅は世界一周の前にもバックパックで行っていたんですけど、

ちょうど沢木耕太郎さんの「深夜特急」が大ブレイクした時で…

 

 

山本>旅人のバイブルですね!

 

 

GOTO>

最終的に世界一周への背中を押したのがあの本ですね。

「(世界一周に)行け!」

「じゃ、行こうか」と(笑)

 

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山本>

呼んでるぞ、世界が、って(笑)

 

 

GOTO>

いろんなことが重なった時期ですよね。タイミングも良かった。

ただ、大学は親の金で行っていたし、バイトで稼いだお金で

世界一周に行ったにしても囲われた状態だったわけですね。

大学を出た後は、海外に行けそうな仕事ってことで商社に入って

トルクメニスタンとウズベクとかに行く仕事をやらせてもらったんです。

 

 

山本>商社マンだったんですね。

 

 

GOTO>

2年間だけですけどね。天然ガスのパイプラインとか

海外好きの男がグッとくるような仕事をやらせてもらっていたんですけど、

砂漠で出会ったお兄さんの顔が常に張り付いていたんです(笑)

 

 

山本>

菊地さんの(笑)

 

 

GOTO>

菊地さんの穴の開いたジーンズがずっと残ってて(笑)

2年働いて25歳ですから辞めるなら今かなって。

その頃27〜28歳の先輩で

「辞める!俺はもうこんな会社にはいない!」

って人がいっぱいいたんですけど、誰も辞めていないですよ(笑)

給料が上がったりしてなかなか辞められなくなるんだろうなって、

僕もそうなりかねないし、25歳だし区切りもいいなって思って。

パーン!パーン!と頭が振れて、

28歳くらいまではアートまみれになってしまって

作品ばっかり作っていると経済概念がどんどん薄れていって、

貯金がほぼゼロになりまして(苦笑)

で、29歳の時に「フリーランスです」

って名刺を作って無理やり仕事を取って来たんです。

 

 

山本>

カメラで、ですよね。

 

 

GOTO>

はい、だから有名な先生のアシスタントをしたりとかも無くてほぼ独学です。

 

 

山本>

学校には行ってらしたんですよね。

 

 

GOTO>

サラリーマンを辞めた後に通った東京綜合写真専門学校という学校に行っていました。

そこは写真で食うことをまったく教えてくれない学校で、

就職率も当時は20パーセントくらいだったんですかね。

卒業した後みんな何しているんだろう?みたいな学校で。

そこは作家養成所みたいなところでアーティストを育てるような学校で、

先生もアーティストだし。

授業もあったけど、日々作品を持って行ってワークショップをやるみたいな

ことをやっていたところなんです。

鈴木清さんという先生は学校で学んだ先生でもあり、

バトルした先生でもあり、ニューヨークに連れて行ってくれた先生でもあり、

恩師と呼んでいいかなと思いますね。

でも、写真で飯を食うことは一切教えてくれませんでしたけどね。

先生ストロボ使えないですから(笑)

 

 

山本>

自分の作品が撮れればいいんだと。

 

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GOTO>

時々ピントが合った写真が撮れると

「おっ!ピントが合った!」って喜ぶような、

学校として親が聞いたら不安になるようなところもあったけど、

非常に面白い学校でしたね。いっぱい有名な作家さんも出てますし。

篠山紀信さんもそうだし、操上和美さんも。

若い世代では金村修さんとかも。

ありとあらゆる作家さんがその学校に関わっていますね。

ま、でもお金なくなりました(笑)

 

 

山本>

ゼロからフリーで名刺を持って…

 

 

GOTO>

そうですね。商業写真もやったらやったで楽しかったので、

しばらくは飯を食うための写真を撮りました。

あと、雑誌の中で海外取材ってのがありますよね。

女性誌とかでグアム行ったりモルジブ行ったり、

それはそれでバックパッカーとしては行けないところにも行けたので、

ある意味幅は広げてくれましたね。

 

 

山本>

その中でもずっと菊池さんにインスピレーションを受けたように、

旅っていうものは写真のバックグラウンドにあるわけですよね。

 

 

GOTO>

ありますね。

今、ANAの機内誌の「翼の王国」をやらせてもらっているんですけど、

ああいう旅の媒体で僕が一番やりたかったのが「翼の王国」でした。

それが2007年くらいにお仕事をさせていただくチャンスが来たんです。

その頃に作風も個展で人物撮ったりしたこともあったんですけど、

僕は「風景写真」が人に一番喜ばれるし、

自分もやっていて楽しいし、30代半ばくらいにそれが作風として出来始めたんです。

もともと海外の世界一周から始まったんですけど、

だんだん日本に対してのものも見方も変わってきて、

中学高校の修学旅行で行った京都も

「寺ばっかりでつまらないな」とか「紅葉も一度見ればいいや」

という世界だったんですけど、

30歳を過ぎて行くといろんなものが染みてくるような

再発見するような部分があって、

そういう京都に対するような感情が日本中の風景から

立ち上がってくるような感じを受けるようになりました。

向こうから「撮れ!」って語りかけてくるような。

それが僕のアンテナに引っかかるようになったんでしょうね。

海外を旅していたときに、日本に興味を持った人が

結局お寺だとか富士山だとか芸者だとかステレオタイプのものしか知らなくて、

インターネットが普及してもリアルな日本のことって知らないんだな

って思ったんです。

そのうちの一部かもしれないけど、風景に関しては

僕の視点で撮ったものを

「こんな面白いよ」とか「こんなきれいだよ」

って見せたいと思っていて、今は作品のほぼ100%日本で撮ってますね。

東京オリンピックもありますし、その先に対しても、

何か人に恩返しすることを本気で思えるようになってきて、

作家として僕が社会の中で何が出来るかなと考えたときに、

自分の視点で撮ったものですけどそれを見せ続けるということをやりたいなと。

それに僕は生涯をかけてもいいというくらいの

確固たるものが心の中にあるので、

写真集のタイトルも同じ感じでずっといくのもそういうことなんです。

それはマンネリとの戦いになるかもしれないけど、

継続性をもたせて行きたいと腹を固めたんです。

 

 

山本>

なるほど。

GOTOさんの写真はいわゆる風景というか観光地を撮ったものとは違って、

それこそ地球の表情を切り取った、

それだけ見るとそれがどこなのかは分からないんだけど、

すごく力を持った写真だと感じるんです。

こういう撮り方をしようと思ったきっかけは?

 

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GOTO>

駅にある観光パンフレットがありますよね。

パンフレットで分かりやすさが大事なものなので、

見た瞬間にそれを言葉に置き換えられることが出来る写真なんですね。

桜の写真とか京都の写真とか奈良の大仏の写真とか。

それを言葉に置き換えて

「これにいくら払うとツアーに行けるのね」って感じで。

ただ、それはきれいであるんだけど、

そこに想像力を刺激する余地があるかというと無いんですね。

失礼ながらそれはちょっとつまらない写真で、

言葉だけでも写真が無くても伝わるインフォメーションだと思うんです。

僕はそれを「具体的過ぎる写真」って呼んでるんですけど、

そういうのはやりたくないんです。

それから、現代美術館でやっているような

かなり抽象的に行き過ぎて説明を聞いてもまだ分からない写真ってありますよね。

ゲーム性もあって面白いとは思うんですけど、

それは見る人にある種の勉強を強いるような写真だと思うんです。

そこにも行きたくないと。

じゃ、その間にあるところでちょっと不思議なというか

幻想的な写真を撮りたいなというのがありました。

日本を表現するときに歌で表現する人、絵で表現する人、写真で表現する人

といろんな表現の媒体があると思うのですが、

僕は写真だから写真に落とし込むときに

どういう要素で表現しようかってことを考えたんですね。

たとえば今このカメラを見ていただいて、ここに何色あったか分かりますか?

(GOTOさん、さっとカメラを隠す)

 

 

山本>

カメラのボディにですか?

分からないですね。5色くらい?

 

 

GOTO>

黒と赤と黄色と緑で4色あるわけですよ。

当然見た瞬間は「あ、カメラだ」って思いますよね。

それを色でとらえようとする意識が無いと4色あるとは分からないわけです。

風景を撮るときも「これが富士山です」って見てしまうと、

そこで人は観察をやめてしまうんですね、言葉で安心してしまうから。

僕はそうじゃなくて

「青いラインがあって今日は光があそこから入ってきてるな」とか、

雪が積もっているから境目があるな」とか、

空気が澄んでいるからよく見ると雪のギザギザした感じがよく見えるな」

とかそういう質感とか色とか形とかを

写真で切り取ったら面白いんじゃないかと考えています。

すごく具体的なものなんだけど、

写真にすることでちょっと抽象性を帯びて、

同じ富士山で知っているはずの写真なのに、

見たことが無い表情だったり。

そういうものを作品として落とし込めてまとめたら面白いんじゃないか、

というのがその走りですかね。

一見分からないけど「ここでこう撮ったんですよ」って説明すると

「あー!あの場所だ!」って言ってもらえるのを大事にしています。

「分からない!」って言われたくはないので(笑)

僕も人に楽しんでもらいたいというのがベースにあるので

「分からない」って言われちゃうとそれは失敗なんです。

好きでも嫌いでもいいんですけど、

分からないって言われるのが一番こたえる(苦笑)

 

 

山本>

へぇ〜そうか〜(笑)

 

 

GOTO>

なので、さっき言った質感とか色とか形とかに、

自然風景であれば風とか光とか雲とかいう自然の要素が

料理で言う調味料の役割を果たしてくれて、

それがうまい具合にまとまるとおいしい料理(写真)が

出来上がるみたいな感じですね。

 

 

山本>

時間という軸もありますよね。

 

 

GOTO>

そうですね。

そういうのを1枚の写真に封じ込めるということにエネルギーを使っていますね。

さっきのアスリートのコンディション作りと共通するという話ししましたけど、

そういうことをするために体を整えたり健康を意識したりします。

 

 

山本>

冒頭におっしゃっていましたが、

撮るポイントというのはあらかじめ決めておきつつも、

現地で裸になった感覚でこう…

 

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GOTO>

そうですね、ズイズイいっちゃいます(笑)

天気予報って当たらないじゃないですか。

気にすればするほど当たらないので、

だいたいのルートとかポイントは決めておくんですけど、

今までその通りに行ったことって一度も無いですね。

必ず変化球があって(苦笑)

天気というのは変化球の達人なので、

こちらでアジャストしてあげないといけないんです。

さっき話したように、ここに行けばこういう写真という思い込みが強いと、

天気にやられちゃうわけです。

むしろその天気を味方につけて、その場でいいところを抽出してあげる、

柔らかい状態で。

スポーツで言うとメンタルとフィジカルのコンディションがありますよね。

写真にも同じことが言えて、撮りたい写真を撮るには

それが必要だと思っています。

 

 

山本>

そうですね、フィジカルという意味ではその体力が無いと

行こうと思った時間にその場所にいけなかったりしますからね。

 

 

GOTO>

自分の身を守りつつも多少危ない場所にも行くこともあるんですけど、

それを支える筋力がMAX100だとしたら

それを80くらいで行けるようにしておかないと怖くて出来ないんです。

普通、滝って下から撮ると思うんですけど、

僕は滝の上から覗き込んで撮ったりするんですね。

そういうときに落ちないように自分の体力・筋力ならここまで行けるな

ってフィジカルなものを自分で意識していないと、

落ちたら笑い者ですからね。

人に迷惑もかけるし。

そういう意味では写真家にもアスリート的な要素があると思います。

 

 

山本>

何かフィジカルで鍛えたりすることはあるんですか?

 

 

GOTO>

不規則な生活をしているんで毎日走ったりは出来ませんが、

自転車が好きなのでそれで汗を流したりしています。

 

 

山本>

先日も自転車で打ち合わせに現れていただいて(笑)

 

 

GOTO>

今日も自転車で来ようと思ったのですが、

さすがにこの雨ではボロボロになって申し訳ないなと…(笑)

(このインタビュー当日は雨でした)

 

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雑談は第三回に続きます。

いかがでしたか?

写真家でありながら旅人でもあるGOTOさん。

風景に対峙するその姿勢ある種アスリートに近いものが感じられました。

次回も乞うご期待!

 

前回の記事はコチラ↓↓↓

 

LAND ESCAPES 〜GOTO AKIの地球の表情を見つめる目〜 第一回

 

 

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GOTOさんの写真集「LAND ESCAPES」は以下で買えるますので、ぜひ手に取ってみてください。

○AMAZON

http://www.amazon.co.jp/LAND-ESCAPES-GOTO-AKI/dp/4906757006/ref=sr_1_5?ie=UTF8&qid=1402280477&sr=8-5&keywords=GOTO+AKI

 

○写真美術館の1Fナディッフバイテン

http://www.nadiff.com/shopinfo/shoplist/x10.html

 

 

<GOTO AKIさんのプロフィール>

1972年神奈川県生まれ。

上智大学・東京綜合写真専門学校卒。

1993年の世界一周の旅から現在まで53カ国を巡る。

写真集「LAND ESCAPES」(traviaggio publishing)が東京都写真美術館、Amazonなどで販売中。

現在、2015年版キヤノンカレンダーと新作写真集の制作中。

2015年初より全国のキヤノンギャラリーにて個展開催予定。

http://gotoaki.com

 

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 info@cael-utd.com

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