category:

栗城史多の夢「冒険の共有」〜新たなるチャレンジ〜その1

docue_14-1067

 

いよいよエベレスト最終キャンプにたどり着かれた登山家の栗城史多さん。

(2015/10/6現在)

”冒険の共有”というテーマを掲げて無酸素単独秋期エベレスト登頂にチャレンジ中の

栗城さんとの雑談記事の第一弾です。

(雑談は前回のエベレスト後、凍傷からの復活でブロードピーク登頂に成功された直後です)

まずは、栗城さんのチャレンジについてを聞いています。

 

(文章・写真=池ノ谷英郎/聞き手=山本喜昭)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

山本>

栗城さん、お久しぶりです。

「ド級!」という、冒険家とかスポーツアスリートとか

旅をしている人とか、心・技・体を使いながら自分の夢に向かって

チャレンジしている人たちの言葉を聴きたい、

その活動を広く知って欲しい、

という思いがあって、2014年の5月にメディアを立ち上げました。

 

 

栗城>

すごいですね!

 

 

山本>

いやいや、すごくないんですよ(笑)

栗城さんと初めてお会いした時は

まだ前の会社に勤めていた時で、

こういったインタビューとかいつかは自分でやりたいなと

思っていたんです。

当時勤めていた広告制作プロダクションは

家に帰るのは月に1,2回くらいなものだったので、

ある意味過酷な環境でした。

それはそれで自分の仕事としてやっていたんですけど、

何か「次のステップに行きたいな」って思っていたんです。

ちょうどその頃に栗城さんとご一緒する仕事が

あったことと、自分自身スポーツは好きだし、

小学校の頃に植村直己さんの本を読んだりして

冒険にも憧れがあったりしたので、

そういうところとシンクロして

「ああ、こういうことを仕事にしていきたいな」

って思ったんです。

その時、栗城さんの著書「一歩を越える勇気」を電子書籍で

読んでいたんですけど、映像が入っていたじゃないですか。

その中で栗城さんが

「こんな普通の僕でもゼロから出来るんだからそれを伝えたい」

という趣旨のことをおっしゃっていて、それで

「自分もやりたいことにチャレンジしてみよう!」

って本格的に思ったんです。これは冗談抜きで。

 

 

 

栗城>

すごい!光栄です!

 

docue_14-1009

山本>

ちょうど(本を読んだのが)その仕事をしている時で、

おぼろげながらそういう皆さんの活動とか、想いとか、

ギリギリのところにチャレンジして感じることとか、

自分の気持ちに正直にチャレンジしていることっていうのは、

世の中の人たちにとってすごく大事なエッセンスになると

思ってたんですね。

で、その後、それをどうやったら伝えられるかな、

と考えた結果、自分でメディアを立ち上げることにしたんです。

でも単純にインタビューして書いてもすごさは伝わると思うんですけど、

「あー、あの人だからね」とか

「すごいですね!でも僕には無理!」って

ところが多分にあるんじゃないかなと思うんです。

じゃあ、そうじゃなくなるにはどうしたらいいのか?

って考えた時に、その人の「人となり」が

もっと分かるように”雑談”形式にしようって思ったんです。

雑談の中に真実があるんじゃないかって。

ある時、ポロッと出る言葉からその人の人間性とか、

栗城さんがおっしゃるような

「普通の人でも出来るんだよ」って

いうのが伝わるのかなって思って

こういうスタイルでやっています。

長ーい説明でしたが、こんな感じです。

 

 

栗城>

いえいえ、素晴らしいです。

 

 

山本>

では、あらためて、よろしくお願いします。

 

 

栗城>

お願いします。

いろいろ聞いていただけたらうれしいです(笑)

 

 

山本>

一応どういう風に何を聴こうか考えて来たんですけど、

栗城さんが初めての人もいらっしゃると思うので、

栗城さんがなぜ山を登ることになったのか、

そのきっかけ、そして、どうして”冒険の共有”に至ったのか

というのを栗城さんの言葉でお聞かせいただけますか。

 

 

栗城>

僕は大学の時に登山を始めたんですけど、

最初は山が好きで始めたってわけじゃなかったんですね。

たまたま大学に入る前からつき合っていた彼女が

山を登っていて、僕は東京でニートみたいな生活を

していたんですけど、その彼女がすごく好きだったんです。

でも北海道に戻ったのに、結局フラれて…

 

 

山本>

一緒に登ったりしたんですか?

 

 

栗城>

いや、僕は山は登ってなかったんですけど、

彼女は毎週いろんな雪山とか登っていたんです。

で、フラれて、山にはまったく興味が無かったんですけど、

「いったい山には何があるのかな?」

って考えてみたけどそんなのやったこともない。

山って登っても褒められるわけじゃないし…

例えばスポーツの世界ではテニスの錦織圭さんみたいに

世界大会で2位になって褒められたりとかあるじゃないですか。

 

 

山本>

誰も見てないですし(笑)

 

 

栗城>

見てないし、頂上に着いてもほんの束の間だし、

何なんだろうこの世界は?って。

そこに憧れていた彼女がすごくうらやましかったというか、

いったい何を見ていたのかな?

っていうのがきっかけなんですね。

きっかけはそこなんですけど、僕の山の先輩はすごく厳しい人で、

とにかく下山が許されなくて…

 

 

山本>

あ、登山の部活に入られてたんですか?

 

docue_14-1013

栗城>

はい、山岳部に入ってました。

北海道にはすごく厳しい雪山がいっぱいあって、

北海道の山って本州の山より標高は低いんですけど、

緯度が高いので気圧は低くて天気も変わりやすいし、

本州と違って人も入らないから山小屋とかもないんです。

そういうところを先輩と何回も登っているうちに、

「自分には無理だ!」と思っていたのに、

気が付いたら頂上にいたりとか。

そういう中で「山ってすごい世界だな」って、

何か自分の「心の皮」みたいなものを

剥がしてくれたような感じがあって、

そのうち山の魅力にとりつかれて

ひとりで登りたいと思うようになったんです。

海外の山にも行きたいと思うようになって

北米最高峰のマッキンリーを目指すようになりました。

初めての海外登山ということもあり周囲からは

「ソロじゃ登れないよ」って

言われたりしていたんですけどなんとか登頂出来たんです。

そこから人生が変わって、世界8,000m峰も14座あるし、

各国の山々、いろんな地球を感じられる山を

登ってみたいということで世界の山を登ろうとしたんですね。

 

 

山本>

なるほど。

 

 

栗城>

ただ、それはまだ1人で登るっていう話だけだったんですけどね。

肝心の「冒険の共有」というのは、

いわゆる登っていくところをネットで配信して

見ている人の一歩踏み出すきっかけになればという

ことなんですけど、そこで重要なのは、

良い所だけじゃなくて悪い所も配信することなんです。

あえて失敗とかあえてダメなところとかも全部公開する、

リアルタイムに。

最終的な僕の目標はそれをエベレストの頂上で

共有することなんです。

ただ頂上でつながるだけじゃなくて、

その登っていく過程もリアルタイムに共有したい

という思いがあるんです。

最初は何がきっかけかというと、

2007年にヒマラヤのチョ・オユーという

8,201mの山をソロで登ろうとしたときに、

たまたま日本テレビの土屋敏男さんと縁があって、

「現地から動画配信をしてみないか」って話を頂いたんです。

まだ日本にはYou Tubeもないし、ニコニコ動画とかもないし、

Ustreamもない頃だったんですけど、

ただ僕はネット配信は試そうと思っていたんです。

衛星端末を借りてブログ配信とか。

試みてはいるんですけど全然出来なかったんです。

そんな時に日テレの社員食堂でご飯を食べているときに

土屋さんがたまたま隣に座っていて、

それが縁で声を掛けられて始まったんです。

 

 

山本>

そうだったんですねー。

 

 

栗城>

その時にすごく面白かったのは、

チョ・オユーは頂上近くで下山になったんですよ。

それで下山して帰ってきたら、コメントでボロクソに

書く人がいたんですね。

「栗城はやっぱり登れない」とかね。

 

 

山本>

ネガティブ・ワードが飛び交ったんですね(笑)

 

 

栗城>

そんな感じです(笑)

だけど、そのあと3日間休養して再びゼロから

登り直して登頂できたんですね。

そしたら意見がちょっと変わったんです。

 

 

山本>

そのチャレンジは1回目も2回目も両方とも

中継されていたんですか?

 

docue_14-1018

栗城>

その時はリアルタイムの中継ではなかったんですけど、

僕が下山してから映像配信をしていました。

現地からの映像配信とかはその時もしていたんです。

ただ、ドキュメンタリーとは違って出来上がったものではなく、

本当に明日どうなるかわからないというものが

共有出来たんじゃないかな、と思っています。

Facebookも無いですし、当時はアクセス数も1,000位と少なくて。

そんな感じでやってたんですけど、

2回目に登った時に結構意見が変わってきたんです。

その中でびっくりしたのは、山を登っていて

初めて僕「ありがとう」っていう文字を見たときなんです。

 

 

山本>

栗城さんに対してですね?

 

 

栗城>

今まで山を登っていて「おめでとう!」とか

「がんばれ!」とか「お前何やってんだ(笑)」

みたいなコメントはあったんですけど、

「ありがとう」っていう文字、これはすごい!

って思ったんです。

それまで僕が直感的に思っていたのは、

冒険の世界とか山を登るとかって

よく昔から非社会的行為って言われていて、

何も物を生み出さないし何も売らないじゃないですか(笑)

GDPも上がらないし(笑)

意味が無いと思われていた世界だと思うんですよ。

特に昔の日本では。

 

 

山本>

経済的にはね。

 

 

栗城>

ところが、人が何かに挑戦する姿って

絶対に誰かが見ているし、

人ががんばる姿って素直に「自分もがんばろう」

と思ったり感動したりすると思うんですよ。

そういう力がああいう極限の世界にもあるし、

それで挑戦することで人の力になれるんじゃないかな、

っていうことを僕は思っていたんです。

 

 

山本>

それはチョ・オユー挑戦の前から思っていたんですか?

 

 

栗城>

こんな素敵な経験をしているのに、

これを自分1人のものにするのはもったいないと

思っていて、ちょうど2007年にいいタイミングで

出会いがあって、翌年も土屋さんに

「もう1回やりたいです」って言ったら

「1回やったからもういらない」って言われて(笑)

まあ、テレビの企画だし、そんなに何回もね。

 

 

山本>

はいはい(笑)

 

docue_14-1021

栗城>

でも、これを足掛かりに自分でやってみようと思って、

マナスルという山で初めて自主配信でやったんです。

その時から(自主配信が)始まっていて、

実は最初の頃はすごい借金をしてやったりしていたんです。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

第1回の雑談はここまで。

お話はまだまだ続きます。

 

 

栗城史多さん公式サイト

http://www.kurikiyama.jp/

 

 

栗城さんへの応援やメッセージはこちらにどうぞ。

 info@cael-utd.com

スポーツ冒険マガジン・ド級! 編集部宛

いただいたメッセージは大切に読ませていただきます。

おもしろいメッセージはサイト内でご紹介いたします!