いよいよ第三回。
プロフットバッグプレイヤー石田太志さんとの雑談放談。
世界でただ一人の”プロ”フットバッグプレイヤーの石田さん。
プロってどんな活動なの?その内容と経緯などを、
どどーんと話していただきました。
(文章・写真=池ノ谷英郎/聞き手=山本喜昭)
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石田>
フットバッグを2003年から始めて、
もう本当にこれだけに集中したのは2011年です。
始めて1年後の2004年にはカナダで開催された
世界大会に参加したんですけど、オープンクラスという
上級者クラスとインターミディエイトクラスという初級・中級クラス
があって、僕はインターミディエイトクラスに出場していたんです。
その世界大会はカナダのモントリオールで開催されていました。
技術を学んだりトッププレーヤーからアドバイスを
受けたいと思っていたんですけど、その時驚くほど
英語が話せなかったんです(笑)
山本>
思い先行型ですね(笑)
石田>
そうなんですよ、思い先行で。
行ってみたら全然聞き取れなくて、
返事されてもよく分からないしで、
目で見た収穫くらいしか無かったんですね。
それにショックを受けて、今後世界の大会でやっていくにも
ルール説明とかがあるのでやっぱり英語が出来ないと
難しいだろうなと思ったんです。
それでなんとか英語を習得したいと思って、
2年後の大学3年生が終わった頃に大学を休学して
ワーキングホリデーでカナダのトロントに行ったんです。
山本>
それは英語を学ぶために?
石田>
そうなんです。英語ももちろんなんですけど、
カナダってフットバッグのトッププレーヤーが多いので
一緒に練習すればリズムを取れたり
アドバイスを聴けたりするだろうと思ったので。
彼らは日本人と接したことの無い人たちなので
基本的に英語なんですね。
彼らと交流するだけで英語が習得出来そうな環境だったんです。
そういうのを経て、大学卒業後に洋服の業界に就職して、
それを3年ほどやって2011年に退職して、
それからプロとしてフットバッグに集中するようになって3年経ちました。
山本>
ちょうど3年なんですね。おめでとうございます(笑)
石田>
ありがとうございます(笑)
で、2011年からは「プロ・フットバッグプレーヤー」
という職業で活動をしています。
山本>
具体的にはプロとしてどういう活動をしているんですか?
ご自身の競技の他には講演とかトレーナーとか・・・
石田>
講演でお話しさせて頂いたりとか、今、
日本サッカー協会が派遣している「夢先生」というのがあって、
小中学校に行って自分の生い立ちとか夢について
子供たちに話す活動をしていたりとか。
もちろん競技活動をするために練習もしますし。
ただ、それだけでは生計が立てられないので、
それをどう構築していくか試行錯誤しています。
なので今はその一環で海外の工場と契約して
フットバッグを生産して販売したりしています。
山本>
(手元にあるフットバッグを手に)これはご自身のブランドなんですね?
石田>
そうです。
それにプラスしてスクール事業ですね。
子供たちが中心ですけど大人の方もいらっしゃって、
個人レッスンをやっていたりスポーツ施設で教えたりもしています。
あとはイベント等に出演してパフォーマンスさせてもらったりしています。
山本>
他のスポーツ選手にも教えてらっしゃるとか。
石田>
そうですね。2014年になってやっと形になってきたんですけどね。
スポーツ選手の方々も皆さんフットバッグを楽しんでくださるんですけど、
彼らも自分の競技があるのでどうしてもトレーニング志向に
なっていくんですね。
そういう中で、フットバッグはすごく疲れるというのを実感したみたいで、
「これ、トレーニングにいいな」と思ってくれたみたいです。
それは僕自身にとっても新たな発見だったんです。
今は、大きいところだと極真空手の日本チャンピオンで
世界2位の選手にもトレーニングでフットバッグを
取り入れてもらっています。
道場で道着を着てフットバッグをやってくださっています。
山本>
その時は石田さんも道着を着ているんですか?
石田>
僕は着ていないです(笑)
あと、選手の師範(50~60歳代)の方からも
トレーニングに効果があると言ってくださって、
そういう方に言っていただけると説得力がありますね。
山本>
やっぱり体幹とか足さばきとかですか?
石田>
僕は空手のことは無知だったのですが、
聞いてみるとフットバッグと共通した動きがすごく多かったんです。
体幹のトレーニングにもなりますし、
股関節の柔軟性を高める効果もあります。
股関節の動きには6つあるそうなのですが、
フットバッグでは四方八方に足を動かすのでそれに適しているんです。
空手では相手に読まれないように足技を繰り出す
必要があったりするので、股関節の柔軟さは大事なんですね。
あと、空手では力任せに蹴るのではなくて
いかに脱力して蹴りを出すかが重要なんだそうで、
脱力して行うという言う点でも共通しているんです。
そういうこともあって、今ではその道場だけでなく
他の道場でもフットバッグによるトレーニングをやらせてもらっています。
山本>
面白いですね。
もともとリハビリのトレーニングで始まったものが競技になり、
パフォーマンスになり、そしてまたトレーニングに生かされていく。
石田>
今はまだそれが確立したとは言えないですが、
これを多くのスポーツ選手がトレーニングとして取り入れてくれて、
そういった活動も広げていけたらと思っています。
世界でも例のない取り組みなので。
ちなみに今、フットバッグは股関節トレーニングとして
注目を集めているそうです。
山本>
本を出せそうですよね。
「石田太志のフットバッグで股関節トレーニング」みたいな(笑)
石田>
そうですね(笑)
自分でどういう動きをしているのかは理解しているので、
自分一人ではなく、その競技に精通した人と
そういう話を出来たらいいなとは思いますね。
空手に関しては、フットバッグを使った空手のトレーニングの
DVDが出ています。
それぐらい空手の世界ではトレーニングとして
積極的に取り入れていただいています。
これを機に他でも広げていけたらと思います。
山本>
どんどん広がってきて夢も広がりますね。
石田>
そうですね。
山本>
フットバッグをやっていく中で「もうダメ!やめたい!」
って思ったことはないんですか?(笑)
石田>
それもありますよ!やっぱりね。
山本>
それはどういう時ですか?
石田>
技の種類が2000種類くらいあるんですけど、
その中でどうしても出来ない技が出てくるんです。
ホントに1年やっても出来ないくらいの。
そういう時はちょっとへこんだりすることもあります。
あと、この活動って結構孤独だったりするんですよ。
まだ人に知られていないですし。
今でこそこういう実績が出来てきたのでいいんですけど、
始めたばかりの頃は孤独感を感じることは結構ありましたね。
山本>
周りから「何やってんの?」的な目で見られたりも
したんじゃないですか?
石田>
大学時代も人があきれるくらいに練習をしていたので、
孤独に感じながら「これをやる意味」を考えていたりもありましたね。
山本>
それをやりながらどうやって克服したんですか?
石田>
当時、少ないながらもフットバッグのコミュニティーを
作って取り組んでいる人がいたりとか、
日本にも大阪にトッププレーヤーがいたりして、
そういう人たちもがんばっていると思い出しながら・・・
山本>
つらいのは俺だけじゃない!と(笑)
石田>
そうです(笑)
プラス負けず嫌いで大会には参戦し続けてはいたので、
「ここでやめたらあの人たちに負けてしまう!」
というのがあり、それで克服出来たのかもしれませんね。
その気持ちが引き留めてくれたというのは少なからずあると思います。
山本>
そうやって2014年に世界チャンピオンになられたわけですが、
先日お話をうかがった時に
「次はどうなるか分からない」
というようなことをおっしゃっていましたが、
石田さんの目標としてはどういうところを目指していらっしゃるんですか?
石田>
2014年に世界一になったことで次はディフェンディング・チャンピオン
になるのでそれを防衛したいですよね。
ただ、もともとトップ10入りが目標だったくらいなので
本当に難しいことなんですけどね。
でもこうやって自分でも信じられないことが起こる世界なので、
最初からあきらめることなくがんばっていきたいと思います。
2014年に僕が世界一になったのが「シュレッド・サーティー」
という競技で、30秒間でいかに難しい技を多種類ミスなくやれるかで
得点を積み上げていく競技なんですけど、
それとは別に、メインの競技で、2分間フィギュア・スケートのように
音楽に合わせて演技をする競技があるんですね。
これは芸術点と技術点で審査されるんですけど、
こちらは今回8位でトップ10入り出来たのは
すごく大きかったんですけど、ファイナル(決勝)に進めるのが
8人でそれには進めたものの、その8人の中ではビリだったんですよ。
なので2015年はそのランキングも上げていけたら
という目標があります。
あと競技以外ではスクールで子供たちや大人の方々に
教えている事業をやっているので、
そういう子供たちが世界の舞台に立って成績を残せるように
なるといいな、というのはありますね。
山本>
競技の裾野を広げていくことも視野に入れていらっしゃるんですね。
石田>
そうですね。あとは裾野を広げるという意味では、
公園とか路上で、例えばフリスビーとかやっているのを
ちょっと見たりするじゃないですか、日本でも。
ああいう文化をそこら中で見られるような・・・
山本>
そういう環境づくりですね。
石田>
今は無いですもんね。街中でフットバッグを見ることなんて(笑)
山本>
あってもバドミントンですね。パークスポーツとしては(笑)
石田>
ちょっとした遊びとして、友達同士で公園で遊べるような
光景を目の前で見られるようになるといいと思っています。
フットバッグは日本はもちろんアジアでも
ほとんど知られていないんですね。
ただ、アジアでは結構似た競技があって、
中国だと「シャトル・コック」というのがあったりとか、
ベトナムだと「ダーカウ」と呼ばれるのがあったりとか、
タイのセパタクローとか、ミャンマーでは「チンロン」
といってセパタクローのボールのようなものを蹴っていたりとか、
蹴る競技はアジアでも文化があるので、
そこにフットバッグを持って行きたいなと思っています。
きっと気に入ってもらえるという確信があるので。
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第二回の雑談はここまで。
次回もどうぞお楽しみに!
これまでの記事はコチラ↓↓↓↓↓
プロフットバッグプレイヤー石田太志 〜フットバッグ放談〜その1
http://docue.net/archives/contents/ishidataishi_footbag1
プロフットバッグプレイヤー石田太志 〜フットバッグ放談〜その2
http://docue.net/archives/contents/ishidataishi_footbag2
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