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雑談インタビュー〜福元ひろこさんの歩く旅、巡礼の路〜その5

roma

歩く旅人の福元ひろこさんに巡礼の道の旅について訊く

雑談インタビューはいよいよ最終回、熊野の巡礼の旅の話、

ご自身の著書の話など、最後まで非常に興味深いお話でした。

(前回はコチラ:http://docue.net/archives/contents/fukumotohiroko_4

 

(文章・写真=池ノ谷英郎/聞き手=山本喜昭)


 

山本>

熊野でも、サンティアゴで出会ったような偶然というか必然というか、

そういう出来事はあったんですか?

 

福元>

ありました、ありました!

まず、この地図がそうなんですけど、

東京で手に入る伊勢神宮から熊野まで歩く地図を

3種類くらい入手して行ったんですけど、

伊勢から本気で歩く人ってあまりいないらしくて、

縮尺が自動車用なんですよ。

しかも有名な峠じゃないとニョロって感じに省略されてしまっていて。

それだと道に迷ったりしてとても歩きにくいんです。

それで、初日は道に迷ったり、正しい道かな?と

常に不安を抱きながら歩いていてすごく疲れちゃって、

また帰りたいって思っちゃったんです。

 

山本>

出ましたね。帰りたい病が(笑)

 

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福元>

ホント嫌だな~、困ったな~って思ってたんですけど、

たまたま泊まった宿のおじさんがすごく親切な人で、

何も言っていないのに部屋のドアをノックしてきて

「福元さん、ちょっといいですか~?」って、

おせんべいと一緒に熊野の資料をたくさん持ってきてくれたんです。

で、おじさんが「この地図持ってますよね?」って言うので

「持ってませんよ。なんですかこれ?」って言ったら、

「熊野古道を歩くのにこの地図を持っていないとダメですよ!

これが一番わかりやすいからこれあげますよ!」

って初日にくれたんです。

でもこれって実は、熊野古道が世界遺産に登録されて5周年の時、

つまり私が歩いた4年前に三重県が特別に作ったものなので、

あまり一般に出回っていないんですよ。

後で三重県の人に聞いたら

「ネットに出回っているからPDFで印刷できますよ」

って言うんだけど、私、かなり調べたんですけど

見つけられなかったんですよね・・・。

でもとにかく、それを初日に宿のおじさんがくれたんです。

これがすっごく細かいんですよ。本当に丁寧に作られていて。

 

山本>

本当だ~。しかも楽しそうな感じですね。

 

福元>

そうなんですよ。実際、これを作るのに何ヶ月もかかって、

何度も何度も歩いて作ったものなんですって。

だから歩くのに最適な地図だったんです。

それをくれたんですけど、この話のポイントは、それが初日の夜だった

ってことなんですよ。

 

山本>

そうですか。

 

福元>

そうでしょう?だって、私は熊野古道を歩くのに2週間かかったんですけど、

仮にこれを12日目にもらったとしたとしたら…

「あ、いい地図ですね・・。でももう歩き終わるんですけど・・・」って感じですよね?

 

山本>

これを全巻(全5巻)もらえたんですね?

で、この地図は、福元さんが出版された「歩く旅の本 伊勢〜熊野」の

別冊付録として付いているんですよね?

 

福元>

はい。

この「ドキュウ!」もそうだと思うんですけど、

いくら熱弁をふるっても、不思議な出会いの凄さとか、

タイミングの一致の完璧さとかって、体験しないと印象が弱いじゃないですか。

こういう話って、言葉ではもう皆さん知っていますよね。

それ、どこかで聞いたことある、みたいな。

でも、そうではなくて、自分で巡礼路を歩き、

不思議な出会いや偶然の一致を体験して欲しい。

そう思って、疑似体験していただけるように意識して

この本を書きました。

そして、もしこの本を読んで熊野古道に興味をもっていただいたら、

ぜひ実際に歩いてみて欲しい。

そこは私の強いこだわりで、出版社的にはかなり制作費が大変だったと思うんですけど、

この別冊の地図は絶対に付けるんだ!じゃなきゃ意味がないんだ!

ってお願いしたんです。

でね、本当に歩いて欲しいから、持って歩くのに重すぎず、持ちやすく、

サッと取り出せるサイズ、これにもこだわったんです。

それでいろいろ試行錯誤していたら、この地図を作った方々が

協力してくださることになったんです。

私たちは本を作る時(歩く前から企画はあった)にこの地図の存在は知らなかったので、

本当に歩く旅の初日の出会いがすべてなんです。

 

山本>

へぇ~・・・。

 

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福元>

でもこの地図って新宮までしかないんですよ。

なぜなら三重県が作った地図だから。

この続きの本宮大社は和歌山県なので、

三重県の税金ではつくれないんですよね。

でも、この本の付録では、協力してくださる方と出会えて、

初日にいただいた5巻の三重県の地図には存在しなかった和歌山県側もちゃんと作れたんです。

ちなみに、その協力してくださった方とも熊野古道を歩いていたら

たまたま出会ったんですけどね(笑)

 

山本>

そうなんですか!

 

福元>

全然狙ってないのに、たまたま8月25日にそこに着いたら、

たまたまその日が若者たちがバーベキューをやる日で、

全然見ず知らずな人たちなんですけど

行ってみたらそこにいたのは熊野のキーパーソンの

若い人たちだったんです。

あえて熊野の本を作るって話はしないで

そこに行って飲んだり食べたりしてたんですけど、

皆さん熊野を愛していて熊野を広めたいと思っていて、

その中の1人が地図を書ける、そしてイラストレーターを

目指している人だったんですよ。

そもそも私はこの本を作る時、これは熊野をテーマにした本だから、

東京で全てを完結させるのではなく、何か熊野の方にも関わっていただき、

この本が売れることで、少しでも熊野にお金が流れたり、

熊野の人たちに良いことがあったり、と、とにかく、

何らかの形で熊野に還元したいって思ったんです。

だから、その方とお会いした時、この方にお願いしたら、

なんか美しいんじゃないかな、と思ったんです。

 

山本>

この本にはそういう不思議なつながりやたまたまがいっぱい詰まっているんですねぇ~。

 

福元>

そう。でもね、私はこの本を書くと決まってから歩きに行ったんですけど、

正直すごくドキドキしていたんです。

なぜなら、サンティアゴのことならいくらでも書けるんですよ。

実際に歩き終わっていて、すごい体験、面白い体験もたくさんしているから。

でも、熊野古道伊勢路にかんしては、まだ歩いていないわけだから、

果たして、本に書くほどのネタが無かったらどうしようって思っていたんです。

「実際歩いてみたら、特に何も起こらず、大して面白くありませんでした」

だったら困るな~…って。

だけど、いざフタを開けてみたら思っていた以上に

いろんなことが起きましたねぇ。

例えば旅の途中でなぜか修験の行者さんのところにお世話になることになり、

なぜか滝行をすることになり、「なんで水着を持ってきてないんだ」って言われたり…。

そんなの、「滝行するなんてこれっぽっちも思ってなかったし!」

という感じなんですけど(笑)

とにかく、そういう感じで、最初の不安なんて吹っ飛び、

逆にびっくりするほどに、面白い出会い、不思議な出会いが

完璧なタイミングで起きた旅でした。

 

山本>

そう言う意味でいうと、サンティアゴですごい体験をして、

熊野に行ってそれをさらに確信したんじゃないですか?

 

福元>

そうそう、まったくその通りです。確信しました。

あれはスペインだからとかこの道だからとか

そういう、特別な場所だから起こることではないということです。

 

山本>

それはもう揺るぎないものになっていったわけですね?

 

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福元>

そうですね。

だけど、娑婆にいるといろんなことがあるじゃないですか。

オイシイ話とか困ったこととか。もちろん、そういうことに直面すると

「えー!どうしよう!?」

って揺れることも不安になることもありますよ。

でも、そうなった時でも、

「絶対に大丈夫。この世の中はうまくいくように出来ている」

と、確信できるようになりましたね。

山本さんが最初におっしゃっていたように、

エベレストに登ったり、何かすごいことをする方が

特別なのではなくて、みんな一緒だと思うんですけど。

違います?どうでしょう、今までに「ドキュウ!」に出て来る方は

揺れ動いたりはしないんですか?

 

山本>

いやいや、みんなそれぞれ揺れてると思いますよ。

やりたいことに取り組んで充実してるけど、

どうやって食べていこうかとか、

死ぬかもしれないって状況とかも中にはあったりしますし。

 

福元>

でしょう?

みんな一緒なんですよね。だけどそこで何か

「絶対大丈夫なんだ!」

って自分の原点となる部分を体験している人の強さなんでしょうね。

だから私は、みんなも歩いてみたらいいと思うよ!

って勧めたくなっちゃうんですよね。

巡礼路を歩くことは、エベレストより簡単だし(笑)。

 

山本>

次に歩くところは決めているんですか?

 

福元>

計画はあるんですけど、直近ではイタリアとイギリスを歩く予定でいます。

 

山本>

イタリアはローマの道ですか?

 

福元>

いや、ローマの道は今、調査中です。

ほら、ローマはスリが多いって言うじゃないですか(笑)

 

山本>

僕、やられかけたことありますよ。

 

福元>

でしょう?

無傷で帰って来た人を知らないですもん(笑)

ローマはその辺を調査してからにしようかなと。

だからまずはサルデーニャ島に行こうかと思っています。

あとね、私、自分からあまり情報を取りにいかないようにしていて、

やってくるものを大事にしているんです。

それはきっとご縁なんですよね。

そのご縁が来ているのがサルデーニャ島やイギリスなんですね。

サルデーニャ島に行けばローマの情報も入ってくるだろうし。

(※福元さんはこのインタビュー後、2014年9月〜11月にかけて
フランスの街からローマまで巡礼路を歩かれました。
インタビューではローマについて治安を心配されていましたが、
実際に行ってみたところ、「フランスでもローマでも全く危険な思いをすることはなく、
お金をすられるどころか、恵まれそうにさえなった」と話されていました。)

 

山本>

日本でいうとどこですか?

 

福元>

日本だと私はまだ熊野で歩いていない道があって、

それは「小辺路」っていう高野山から続く道なんですけど、

それは近いうちに歩きたいです。

あと沖縄ですよね。「東御廻り(あがりうまーい)」ってご存知ですか?

 

山本>

なんですか?

 

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福元>

「あがり、旨い!」って寿司屋じゃないですよ(笑)

 

山本>

それ、ネタにしているんですか?(笑)

 

福元>

してない、してない!今初めて言ったんですから!

 

山本>

そうなんですか?(笑)

アガリウマーイ、知らないです。

 

福元>

「東御廻り(あがりうまーい)」というのは、

琉球国王が国の安泰と繁栄、五穀豊穣を祈って、

斎場御嶽(せーふぁうたき)などの聖地を巡拝した道です。

 

山本>

(レイラインハンターの)内田さんも言っていたけど、

女性なんですよね、沖縄は。

 

福元>

そうみたいですよね。沖縄についてはまだあまり詳しくないのですが、

女性しか入れない場所などもあると聞いたことがあります。

 

山本>

基本は1人で歩くというスタイルを貫くんですか?

1人と誰かと行くのではだいぶ違いますか?

 

福元>

あ、それは圧倒的に違いますね。

誰かと行くのは旅行であって

その人と感動を分かち合うのも醍醐味のひとつだと思うんです。

だけど、旅というのは1人で行って自分と向き合ったり、

1人だからこそ外の人と出会うこともあって気づきもあったりしますし。

自分だけでちょっと不安もあって心細いからこそ

敏感になってキャッチできることもあると、私は思っています。

 

山本>

誰かと一緒だと他の人もあまり声を掛けてこないですからね。

 

福元>

そうですね。地元の人たちとの出会いも少なくなってしまいますね。

だから1人で歩くことには別の楽しみがあると思っているので、

私は巡礼では1人で歩くスタイルを取っています。

 

山本>

楽しみですね。

 

福元>

「ドキュウ!」に登場した他の方たちもおっしゃっていたそうですが、

私自身も人生を歩く旅のようにとらえて、

自分の心の声に耳を傾けて、その声に従って一歩一歩、歩いて行こう、

一歩一歩生きて行こうと思っています。

 

山本>

見つけちゃったわけですもんね(笑)

 

福元>

そうなんですよね、出会ってしまったんですよね(笑)

とにかく自分の心が喜ぶように生きていたいじゃないですか。

 

山本>

旅で得たことはそれは大丈夫ってことですよね。

 

福元>

そうです!

 

山本>

勇気もらえましたよ。なんとなく分かるんですよ。

僕も楽観的でいわゆる「根拠の無い自信」がある方なんで、

「根拠の無い自信」が経験を通して確固たるものに

なっていくんでしょうね。

 

福元>

自分を信じることもそうだけど、「根拠ある世界を信じる」

ってことですよ。この世界は、信じられるものだから。

 

山本>

「根拠ある世界を信じる」、素晴らしい言葉ですね!

 

福元>

勇気をもって自分の心の声にしたがって生きる人が

増えるかもしれませんね。

山本さんもそう思っているからこそ「ドキュウ!」をやってらっしゃるんですよね?

 

山本>

その通りです!今日はありがとうございました。

 

(おわり)


雑談インタビュー〜福元ひろこさんの歩く旅、巡礼の路〜その1

 

雑談インタビュー〜福元ひろこさんの歩く旅、巡礼の路〜その2

 

雑談インタビュー〜福元ひろこさんの歩く旅、巡礼の路〜その3

 

雑談インタビュー〜福元ひろこさんの歩く旅、巡礼の路〜その4

 

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歩く旅人 福元ひろこ(ふくもとひろこ)