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ドキュウ!なドクショ2冊目「ライカでグッドバイ」

『ライカでグッドバイ』青木富貴子 著(ちくま文庫)

ぼくが社会人になってから最初に就職した会社をやめたのが25歳。

その時に引き寄せられるようにホーチミンを旅した。

なんとも言えない懐かしい感じが忘れられない。前世はベトナムにいたのか?と本当に思ったものだ。

ベトナム自体の記憶は、小学校のときに観て、おどろおどろしかった記憶しかない映画「地獄の黙示録」だった。

その後大学生の時に読んだ開高健の「輝ける闇」では、なぜ死が隣り合わせにある戦場に人は引き寄せられるのかを反芻して考えた。ぼくには、仮にチャンスがあったとしても、戦場カメラマンや従軍記者になる気は全くないにもかかわらず。

 

ベトナム戦争を最前線で撮り続けた男、沢田教一。

カメラを武器にのし上がっていく野心の人であり、物静かで温厚な寛容な人でもあった。

あまりにも有名なピュリッツァー賞受賞作の「安全への逃避」を最初にみたのはいつだっただろか。その記憶は曖昧であるが、その写真はしっかりとぼくの記憶に刻まれている。

本書を読み進めていくと、沢田の純粋で愚直に自分の心にしたがって生きた、その生き様に圧倒的に引き込まれていく。世の中のためとかそういう類の使命感でなく、自分の心に正直な生き様。次に何が起こるかわからない戦場でのある種の熱狂と、戦争の理不尽さの両方を感じ、かかえこみながら、あくまで自分に対峙しつづけた沢田の生き様を多くの人に知ってもらいたい。

 

 

(文:山本喜昭)


ドキュウ!なドクショとは?

本についてのシリーズをはじめます。