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宮川竜一の「アマゾン横断プロジェクトDancing Across the Amazonに至るまで」その4

daa%e8%a1%a8%e7%b4%99%ef%bc%94[その4「アマゾン川単独イカダ下り」]
「東京ー仙台間無銭徒歩旅行」と

「ネパール、インド徒歩、自転車旅行」を終えた

宮川さん。

次なる旅はいよいよアマゾン。

アマゾン川イカダ下りです。

南米大陸横断7000kmの旅

「Dancing Across the Amazon」

に至るまでを振り返る宮川さんの手記の第四弾です。

 

(本文:宮川竜一)


 

パール、インド徒歩、自転車旅行」で勢いをつけた僕は、
次の目標を「川の旅」と決めた。

実はネパールのお寺で5日間の断食断水業をしたのだが、
その時に思いついたのが、「川の旅」だった。
自然の力に乗っているだけで、何千キロも移動できることが、何よりロマンチックに感じられたのだった。

そして植村直己さんの「青春を山に賭けて」や、大場満郎さんの「笑って死ねる人生がいい」を読み、アマゾン川をイカダで下ろうと決めた。

大学の授業中はいつも冒険に関する本を読み、ノートに旅の計画を書き綴っていった。
そしてネパールインドから半年後の大学二年の夏休み、僕はアマゾンへと飛んだ。

前回の旅で使い果たしてしまったアルバイトの貯金はほぼ底をついてしまっていたため、
親に借金をしての出発。旅先のペルーから追加の送金をしてもらったのを含めて、借金は58万円にもなった。

 

ペルーのアマゾンジャングルにある都市イキトスについた僕は、モリさんと言う日本人の方と出会い、
大工さんの協力を得て、イカダを作っていただいた。

イカダに乗り、一人で大河へ漕ぎ出した瞬間、自分の存在に対してアマゾン川があまりに大きく感じられ、
恐ろしさのあまり涙が出てしまった。怖さを紛らそうと、叫ぶ。
「アマゾン川、待ってろーっ!!」

たった一人、プカプカと浮かぶ”イカダ”という名の木の固まりに乗り、見渡す限り人工物が一切無いジャングルの川を下る気持ちは、
恐怖と不安のあまりなのか、あまりにも美しく感じられた。

川幅があまりに広く、イカダが重たいため簡単には岸に寄せられず、日夜川の流れるままに流れた。

川が水圧で削られることで岸から落下した木が流れつき、堆積した立木にイカダが衝突する。
そこから抜け出すのに1、2時間、あるいはそれ以上かかるのだった。
しまいには、毎日のように立木に衝突し、やる気を失っては、料理をしたり食事をしながら、モーター付きのカヌーが通り、助けてくれるのを待つような日々が続いた。

一方、イカダが川の中央を流れ、立木に引っかかる心配のない夜は、
満点の星空に包まれ、誰もいない大自然の中、毛穴のすべてから歓びの粒子が噴き出るような感覚に陥った。

「準備万端ではつまらない。」「旅はハプニングがあるから面白いんだ。」
そんな考えのもと、アマゾンの最も大きな強敵、「虫」に対する対策はそこそこしかしていなかった。
蚊帳は吊って寝たが、日中は暑さのあまりパンツ一丁でいた。
なにせ、周りに人がいないのだから、下着姿でも恥ずかしいという感覚が全く無い。
多少蚊やハエに血を吸われたって、チョイと痛いだけ、と初めは強がっていた。

2週間後、気が付くと、足の肌が化膿しはじめ、
3週間目には、寝ているとき以外はほぼずっと、歩けないほどの鈍痛に襲われるようになった。
家族や親友がいつも自分を応援してくれていると分かってはいても、そのことだけでは自分の心を支えられなくなりそうなほどの痛みだった。
たった一人誰もいないジャングルの川の上で、悶えるしかなかった時の寂しさは、
僕にとって孤独そのものだった。

その後、偶然流れ着いた小さな村の人たちに助けられ、近くの街にある病院で3日間入院し、点滴を打ってもらった。

河口の街ベレンへ旅客船で下る間、僕は一つの感情を強く抱いていた。
「悔しい。」

旅が終わってしまった。

もっと長い距離をイカダで旅したかった。今回は大学の長期休暇が終わってしまうため帰国しなくてはならないが、もし時間があれば、体調を整えて再挑戦出来たはず。

ブラジルアマゾンの大都市マナウスの近くに、白い川と黒い川が合流し、何キロもの間その水が混ざらないまま流れる場所がある。
僕は船客が外の写真を撮っている中、一人下を向いてジッとしていた。
「イカダの上から、見てみたい。」そこには、悔しさで頭が熱くなっている自分がいた。

その後河口へと進むにつれ、川幅はますます広がり、しまいには向こう岸が見えないほどになった。
「もしこの景色をイカダの上から見たら、どうだったろうか?」
きっと、想像を絶するほどの恐ろしさを感じたのではないだろうか?いや、それとも最上の自由を感じただろうか?

船に乗っているこの瞬間から、僕は密かに「アマゾン、リベンジの旅」を計画し始めていた。
足の虫刺されの傷は、帰国後も1年間は僕を痒さで苦しめ続けた。
これほどまでに刺激的な経験を味わった僕は、まさにアマゾンの虜になってしまったのだった。

 

(つづく)


宮川さんの手記はこのあともドンドコ続きます。

 

宮川竜一の「アマゾン横断プロジェクトDancing Across the Amazonに至るまで」その1

宮川竜一の「アマゾン横断プロジェクトDancing Across the Amazonに至るまで」その2

宮川竜一の「アマゾン横断プロジェクトDancing Across the Amazonに至るまで」その3

 

<宮川竜一さんのプロフィール>

宮川竜一(みやかわりゅういち)