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夢を追う男 阿部雅龍「白瀬中尉の遺志を継いで南極点へ」その4

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夢を追う男、阿部雅龍さんとの雑談対談の最終回です。

ご家族のこと、ご自身の活動を伝えてること、これからのことなど、

ざっくばらんに語っていただきました。

ではどうぞ!

 

(文章・写真=池ノ谷英郎/聞き手=山本喜昭/撮影協力=マウンテン

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山本?

ちなみにご両親は阿部さんの活動をどんな感じで

応援してらっしゃるんですか?

 

 

阿部>

僕の母はもう仕方ないよって感じです(笑)

 

 

山本>

反対されたことはあるんですか?

 

 

阿部>

1回家を飛び出したことがあります。

大学の時に休学して大場さんの所へ行く時も、

「何で急にそんなことやるんだ」と。

「就職活動していいところに就職して暮せばいいじゃないの」って。

 

 

山本>

社会に適応しろ、と(笑)

 

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阿部>

そういうのがあって、初めは折り合いが合わなくて

半ば喧嘩して家を飛び出して大場さんの所へ行ったんですけど、

時間をかけて仲直りをしてきましたね。

ずっと本気でやってきて地元の新聞やテレビで

取り上げてもらえるようになったら、

母も「あんなマジなのね」って(笑)

「ホントは早く就職して欲しいけど、母さん応援するわ」って。

僕の父は僕が4歳の時に事故で亡くなってますから。

ここ(ペンダント)に父の遺骨が入っているんです。

 

 

山本>

バイクでいろいろ連れていってもらったんですよね。

 

 

阿部>

そうです。父が早くに亡くなってこともあって、

自分が若かろうが年を取ろうが関係なく死ぬんだなって

感覚を持てたんです。

 

 

山本>

しかも、行ってからも常に死と隣り合わせということもあって、

必然的に今という時間を大切にするようになるんでしょうね。

 

 

阿部>

意外とこういう「死ぬかもしれない」って話を

子供たちや学生に話すと真摯に受け取ってくれるんです。

感想文とかももらうんですけど、

「自分もいつ死ぬか分からないから思ったことをやろうと思います」

って書いてあったりして。

 

 

山本>

それはうれしいですね。

 

 

阿部>

子供たちの感想はうれしいものが多いですね。

あとツイッターとかもやってますけど、

直接連絡が来たりして。

写真展をやった時に講演をした学校の生徒が来てくれて、

「阿部さんの話を聴いて、私はこういうことをやろうと思って、

阿部さんにその夢を話しに来たんです」って。

 

 

山本>

そうなんですね!

 

 

阿部>

きっかけ作りになってうれしいですね。

聴いた生徒みんなが変わるわけじゃないと思いますけど、

そういう生徒が増えてくれればいいかな。

あとは僕がいつも講演で

「夢を持つことは素晴らしいっていつも言っているけど、

夢は無くてもいいんだよ」って言っているんです。

夢があったら素晴らしいんですけど、

もし僕が子供だったら

「何か夢を追った方がいいよ、何か夢は無いの?」

って言われたら絶対嫌だなって思うんです。

 

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山本>

「大学に行っていいところに就職した方がいいよ」

って言われるのとある意味一緒だったりしますよね。

決め付けっていうのがね。

 

 

阿部>

そうなんです。

「夢を持てよ」とかね。

じゃなくて、自分が幸せに暮らせて、

自分の周りの家族・友達や知らない人たちも

幸せにできたら最高だと思うけどな、

って言っちゃいますね。

「でも、俺は夢があったら楽しいと思うけどなっ!」

って提案はします。強制はしません。

 

 

山本>

今おっしゃった、自分の幸せと周りの幸せを実現する

自分は何なんだろう?っていうことが

ある意味「夢」だったりしますよね。

 

 

阿部>

だから会社勤めの方もそう思って仕事ができたら

すごく幸せだと思うんですよね。

「この仕事の先には誰かの笑顔とか幸せがつながっている」って。

そういう大人が増えたらいいなって思いますね。

 

 

山本>

子供の教育は重要ですよね。

子供世代はもちろん変わらないといけないけど、今の大人たちも変わらなくちゃいけないんですよね。

 

 

阿部>

そうなんです!

 

 

山本>

世代が変わるのを待っていたら、

たぶん阿部さんと会った子たちも

その時は「自分もやらなきゃ」って思っても、

周りの環境によって変わっちゃったりするんですよね。

 

 

阿部>

なかなか難しいですよね。

 

 

山本>

子供たちだけじゃなく大人たちも本を読んだり

冒険とかから刺激を受けたりして変わっていって欲しいですよね。

 

 

阿部>

だからこういう冒険を伝えることって僕としてもすごくやりがいがありますね。

 

 

山本>

やりがい、あるでしょうねぇ~(笑)

 

 

阿部>

大変ですけどね!(笑)

 

 

山本>

大変でしょう(笑)

人生、どう自分が思ったことを実践していけばいいかって

本当に「トライ&エラー」の繰り返しですよね。

 

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阿部>

冒険も昔と違ってどんどん変わっていきますからね。

時代時代によっていろんなやり方があったりしますから。

 

 

山本>

人力車夫のこともお聴きしたいのですが。

冒険を続けるにあたってもちろんお金を稼がないといけないし、

普段のライフワークになるのとトレーニングと

コミュニケーション能力を鍛えるために

人力車夫を選んだとのことですけど、

これはこれで阿部さんにとっては大事なライフワークなんですよね?

 

 

阿部>

そうですね。

人力車というのは僕にとっては冒険するうえで欠かせない

1つの要素であるんですけど、

この人力車の仕事をしながら世界を冒険することで

日本人として表現していきたいです。

あと、人力車夫の仕事が楽しいんですよ。

人力車が好きってこともあります。

 

 

山本>

京都で一度人力車に乗ったんですけど、皆さん楽しそうですもんね。

 

 

阿部>

やっている人は楽しいですよ!

 

 

山本>

それが伝わってきますよね。だからこっちも楽しくなるんです。

 

 

阿部>

僕ら人力車夫は仕事が好きでやってますからね。

こんな素晴らしい仕事はないと思っています。

その場でお客さんがすごく笑顔になって

幸せな気分になってくれるのが分かるんです。

それで代わりにお金をもらうっていう分かりやすい仕事です。

 

 

山本>

分かりやすいですよね。

会社で働いたら分かりにくいですからね。

やっていることが誰のためなのかとか。

 

 

阿部>

人力車夫の中には普段は他の仕事をやっていて

その合間にやっている人もいますよ。

 

 

山本>

土日だけやるとか?

 

 

阿部>

そうです。息抜きじゃないですけど、

これをやることで人生が楽しくなるって言ってます。

 

 

山本>

その人にとってはある意味冒険なのかもしれないですね。

 

 

阿部>

そうですね。

 

 

山本>

プロで人力車夫をやっている人もいるんですか?本業として。

 

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阿部>

いますよ。学生さんのバイトもたくさんいますけどね。

人力車の仕事はずっと続けていきたいと思います。

人力車では将来的にもっとやりたいことはあるんですけどね。

 

 

山本>

人力車を通して?

 

 

阿部>

今は友人が作った会社で働いているんですけど、

僕もいずれ独立をして、従業員も夢がある若い人たちを

集めて彼らの夢の実現の後押しをできるようなことをしたいんです。

たとえば俳優さんなら時間が不規則だから

合間に人力車の仕事をしてもらってメディアにも活用してもらうとか。

 

 

山本>

阿部さんがそうしてきたようにですね。

いろんな冒険家とかアスリートの手段にもなりますよね。

そのまま阿部さんをロールモデルにして。

 

 

阿部>

将来的にそうできたらいいなって思いますよね。

自分自身が今までいろんな人にお世話になって

生きてきているので、そこを自分なりの形で恩送りをしたいですね。

恩を返せないことも結構あるので、

次の世代につないでいきたいなって思いますね。

それは冒険にも人力車にも言えることです。

 

 

山本>

最後に、南極のプロジェクトについて

伝えたいこととかあればお願いします。

 

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阿部>

南極冒険では、自分たちがやっている仕事が

次の世代に受け継がれるってことを伝えたいですね。

100年前の白瀬中尉にやったことを、

今、僕や仲間がやっていて、

その先も人間の意志って生き続けると思うんですよね。

自分たちがやっていることが

実は次世代に繋がっていくっていう意識をみんなが持てたら、

世の中はすごく変わるんじゃないかと僕は思います。

自分だけのためじゃない、

自分の子供、孫、その先まで続いて行くと考えたら、

仕事も人生も楽しくなるんじゃないかなって思うんです。

 

 

山本>

今回は白瀬中尉の意志を阿部さんが繋いでいくんでしょうね。

継承がキーワードになるんですね。志の継承と言いますか。

 

 

阿部>

不可能と思われていた南極冒険を100年前に

成し遂げた日本人がいたわけですし、

もともと日本人はそういう素晴らしい挑戦心を

持っているんですからね。

僕らが持っている挑戦心を大事にして、

それを100年先に繋げるきっかけになったらいいと思います。

 

 

山本>

チャレンジャーがいっぱいの日本になるといいですね。

 

 

阿部>

はい。ここから先の100年後とかに、

世の中のチャレンジャーは日本からばかりだな、

みたいな感じになったらいいですね。

 

 

山本>

何か知らないけど東の島国は変なヤツが多いぞ、

みたいなね(笑)

 

 

阿部>

そうなったらいいですね~。

一気には変わらないと思いますけど、

そういう意識を持つ人が増えていけば

少しずつ変わっていくと思います。

それは僕ら大人がやらないといけない、

だったら自分たちの仕事や冒険の中でできることを

やっていったら将来的に変わっていくからやりましょう!

みたいなね。

 

 

山本>

阿部さんに子供が生まれたらまた変わるかもしれないですね。

 

 

阿部>

かもしれないですね。結婚もね~。いい相手がいれば(笑)

 

 

山本>

もうちょっと先ですかね?

 

 

阿部>

南極が終わった35歳くらいで(笑)

 

 

山本>

それも楽しみにしています(笑)

ありがとうございました。

 

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夢を追う男 阿部雅龍「白瀬中尉の遺志を継いで南極点へ」その1

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夢を追う男 阿部雅龍「白瀬中尉の遺志を継いで南極点へ」その3

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