夢を追う男、阿部雅龍さんとの雑談対談の第三弾です。
現在グリーンランド単独徒歩行に絶賛チャレンジ中の阿部さんの
冒険に対する考えや、感じていることなどをザックバランバランに
聞いています。
ではどうぞ!
(文章・写真=池ノ谷英郎/聞き手=山本喜昭/撮影協力=マウンテン)
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山本>
このチャレンジの後って何か見据えていたりしますか。
阿部>
あります!でもそれはオフレコです(笑)
山本>
オフレコなんですか(笑)
阿部>
ただ、冒険を通して応援してくれている人や
見てくれている人を笑顔にするということと、
誰もが夢を実現できるってことを伝えたいということ。
ここだけは変わらないですね。
だから南極もある意味では通過点です。
山本>
ひとつの通過点ってことですね。
阿部>
その先もあります、ということです。
寂しいですよね、「南極(のチャレンジ)で終わり」ってのいうのも。
だから南極が終わったらそれを自分で伝えるとか、
そういう部分をさらにやっていける可能性が広がるかなって思います。
山本>
そうですね、きっとそうだと思いますよ。
講演活動も普段から結構なさっているんですよね?
阿部>
はい。
山本>
先方からオファーが来て、しゃべってもらえますか?という感じですか?
阿部>
そうですね。僕は今現在たいして知名度もありませんから、
口コミで広がっている感じですね。
山本>
阿部さんがこれまでの旅の中で「最高!気持ちいい!」
って思った瞬間ってありますか?
「このためにやっているんだなぁ!」って思えるような(笑)
「夢を追えばかなう」こととか
「自分の好きなことにチャレンジするのっていいことなんだよ」
ということとか。
人間って根源的な部分で気持ちいい
ってことが理由にあったりするじゃないですか。
どこかにそういうのがあって、
だからそれを選択しているんでしょうけど、
阿部さんの場合はそれが冒険だったわけですよね?
冒険にはどういう「気持ちいい」ところがあるんですかね。
阿部>
そうですね、僕は冒険自体に気持ちよさや
達成感を感じるのは冒険が始まった時ですね。
山本>
始まり、第一歩ですか?
阿部>
スタート地点に着いて歩き始めて
「夢を実現できた!」「スタートに立てた!」
って思った瞬間ですかね~。
スタートするまでが結構大変ですから。
山本>
それまでがね。スタートするまでも冒険ですもんね、ある意味。
阿部>
極地冒険は山と違ってサミット(頂上)が無いですから。
サミットに立って「気持ちいい!やった!」っていうのは無いんです。
山本>
なるほどね~。
阿部>
歩き始めた後はひたすら「現実」なんです(笑)
だから終わる時は達成感というよりホッとしますね。
「やっと家に帰れる」って(笑)
山本>
本(阿部さんの著書)を読ませていただくと、
その中でもたくさんそういうことがあったんでしょうね。
阿部>
南米(自転車の旅)を終えた時もそうでしたね。
すぐ次のことを考えてます。
山本>
ウルトラマラソンの世界でも「スタートに立ったあなたは勝者です」
っていうのがあるんですよね。
それまでトレーニングを積んでスタート地点に立てた、
という意味で。
まあ、阿部さんの冒険とは格段にハードルは低いですけど(笑)
阿部>
そんなことはないです(笑)
山本>
トレーニング以外にも、ウルトラマラソンは長いから
何日か仕事を休まなくちゃいけなかったり、
そのためにいろいろ調整したりもありますからね。
あと、僕は座禅に行っていた時があって、
禅の後の講話の時にお坊さんも言っていたんですけど、
「禅の修行は座ってどうこうではなく、
あなた方がこのお寺の門をくぐって来られた時点で
修業はもう終わったようなものなんです」って。
そこにも通じるなって思いながらお話をうかがっていたんです。
阿部>
ウルトラマラソンとかってゴールした瞬間ってものすごくうれしいじゃないですか。
山本>
僕ね、そうでもないんですね。
「終わった~!」ってホッとすることの方が大きいんです(笑)
阿部>
なるほど、確かにウルトラになるとそうなのかも知れないですね。
僕はフルマラソンしか経験はないけど、
途中で「まだ終わんないのか!?」って思っちゃいます(笑)
山本>
そうそう!あるある(笑)
阿部>
そういう面では似てるのかもしれないですね。
山本>
スタートの時はテンション上がりますね。
阿部>
で、途中、半分くらいで…
山本>
「何でこんなこと始めたんだろう」ってちょっと後悔が入り…(笑)
阿部>
極地冒険と似てますね。
マラソンとかが好きな人は極地冒険は向いてますよ。
耐え忍ぶ感じが。
山本>
長時間動きますしね(笑)。
山本>
極地冒険の場合、リタイアってありえますか?
そうした場合、どうするんですか?
無線とかで連絡取るんですよね?
阿部>
北極圏の場合は、衛星携帯電話でカナダに
連絡を取る人を確保してました。
山本>
確保しないとヤバいですよね。
阿部>
そうですね。
今回は北極圏にあるカナダのヌナブト州のイカルイットという
所にいたんですけど、元州長さんだった方にお世話になって、
実際にレスキューもするレンジャーの人たちにも会いに行ったんです。
山本>
要はリスクヘッジじゃないですか、その辺って。
極地冒険をする方は皆さんやってらっしゃると思うんですけど、
割とし過ぎなくらいしておくものなんですか?
阿部>
どうなんでしょうね?
一般の人から見たら「あー、結構やっているな」って
イメージはあると思うんです。
僕もそうですけど保険にも入りますし。現地でも保険掛けますし。
山本>
冒険家が入る保険ってどんな保険なんですか?
阿部>
高所登山用の保険があるんです。
山本>
極地にも適用されるんですか?
阿部>
それはもちろんです。
企画書を送ってプランがいくつかあって
どのプランなら適用されるかとか相談します。
山本>
そこも説得していくんですよね。
阿部>
ま、そうですね。月100万円くらい払うんです。
山本>
月100万円!
阿部>
その代り救助の費用も出るので。
そこはちゃんとやっておかないと無責任って言われちゃいますから。
何かあった時にあまりにも無責任だと。
山本>
そうですよね~。
阿部>
だから毎回保険は掛けてますよ。
南米自転車の旅の時は普通の海外旅行保険でOKでしたけど。
保険会社に連絡して「自転車で旅するんですけど」って。
山本>
へぇ~。
阿部>
ガシガシに冒険している人ってみんなだいたい臆病者ですよね(笑)
山本>
でもそうじゃないとダメなんじゃないですかね。
ちょっと違うのかもしれないけど、
魚釣りはのんびりしている人は向かないって言いますよね。
阿部>
あ~、よく言いますよね。
山本>
割とせっかちな人の方が手を変え品を変えやるから、
腕が上がるらしいです。
阿部>
冒険家って言うと「どうしょうもない人」って
イメージが一般的にあるかも知れないですけど(笑)
山本>
そうですか?!(笑)
阿部>
社会性も全然無くて、社会に適応できないというか…
僕も割とそうなんですけど。
でも、比較的社交的な人が多いですよね。
山本>
そうですね、五感が開けた人が多いですね。
阿部>
あまり怖い感じの人はいないですよね。
山本>
たしかに!
何でだろう?
変なバリアみたいなものが無いからかもしれないですね。
街で生きていると僕もそうですけど少なからず
対人バリアみたいなものができてますね。
冒険家の皆さんはそれが少し少ないのかもしれないですね。
阿部>
かもしれないですね。
そうじゃないと、たとえば世界中に行って友達になったり、
現地の人に支えてもらうことってこともできないですからね。
地元の人に「何だかよく分からないけどこいつ応援してやろうかな」
って思ってもらえるのは、そういうバリアの少ない
人なのかもしれませんね。
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第3回の雑談はここまで。
お話はまだまだ続きますよ〜。
これまでの記事はコチラ↓↓↓↓↓
夢を追う男 阿部雅龍「白瀬中尉の遺志を継いで南極点へ」その1
http://docue.net/archives/contents/abemasatatsu_southpole_1
夢を追う男 阿部雅龍「白瀬中尉の遺志を継いで南極点へ」その2
http://docue.net/archives/contents/abemasatatsu_southpole_2
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