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夢を追う男 阿部雅龍「白瀬中尉の遺志を継いで南極点へ」その2

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2017年の南極点単独無補給徒歩の冒険のトレーニングもかねたグリーンランドの徒歩行中の

阿部雅龍さんとの雑談対談の第二弾です。

阿部さんの冒険に掛ける想いを語っていただきました。

ではどうぞ!

 

(文章・写真=池ノ谷英郎/聞き手=山本喜昭/撮影協力=マウンテン

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山本>

阿部さんはそれこそ白瀬中尉への思いが

すごくあるんだと思うんですけど、

冒険にチャレンジするモチベーションって何なんですか?

若くして数々の冒険の旅に出ているじゃないですか。

 

 

阿部>

一言でいうと「憧れ」ですかね。

 

 

山本>

「憧れ」ですか。それは何に対する憧れですか?

 

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阿部>

冒険家とか小さい頃に自分が憧れていた理想の人になりたい、

ってことですかね。大場さんとかもそうですし。

僕の肩書は「夢を追う男」っていって

「仮面ライダー・クウガ」から取ったんですけど、

そういう人になりたいとか、ですかね。

そういうのを1つのロールモデルとして

子供たちに見せることができたらいいなって。

それで子供たちが「早く大人になりたい!」って

思えるようなことができたらいいなって思いますね。

 

 

山本>

影響として教育面のことも考えてらっしゃるんですね。

子供たちに、次の世代に、ということは最初から考えていたんですか?

 

 

阿部>そうですね。それはずっと思っていて、

僕自身も大場さんを含め恩師への憧れで自分たちが変わったので、

そういうことでこれから次の世代の後押しを出来るんじゃないかと。

それで南米自転車の旅の時も初めからブログを現地から更新して、

冒険と情報発信の両方をしているんです。

 

 

山本>

今の冒険家は「伝える」ということに

力を入れている人も多いですよね。

伝えやすい状況になったということもあると思うんですけど、

単にやっているから記録として伝えようと思っている人もいる中で、

確実に子供たちや人々に夢を追うことの大切さを伝えることに

フォーカスされていますよね。

 

 

阿部>

そうですね。

 

 

山本>

何となくではなく確実にそれのためにやっている

っていう感じがするんですけど、

誰かのためという部分もありつつ自分のためでもあるわけですよね。

極地にチャレンジするワクワク感とかエキサイティングな感じとか、

いろんな人との出会いとか。

その辺のご自身の中でのバランスはどんな感じなんですか?

 

 

阿部>

みんなのために行っているのも自分のためでしょ?っていうのはありますね(笑)

 

 

山本>

巡り巡って(笑)

 

 

阿部>

それはそうなんですけど、冒険自体のワクワクも当然ありますし。

ただ僕は「みんなに伝えたい」というのが前提にありますね。

 

 

山本>

「もうダメ」みたいな場面って何度も経験したと思うんですけど、

そういう時に周囲の期待や「人に伝えないと」という使命感から

ピンチを乗り切れたりもするんですか?

 

 

阿部>

そうですね、僕の場合は応援してもらえるってことは

プラスに作用するんですけど、人によってはマイナスになってしまう

人もいますね。

 

 

山本>

そうなんですか?

 

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阿部>

スタイル次第です。

僕はやっぱり応援してもらった方ががんばれるし、

僕自身もそんなに強い人間ではないので(笑)

僕がいつも思っているのは、1人の大人として

子供たちに誇れる大人でいたいなってことなんです。

いろんなところで子供たちに話をしていますから、

冒険を続けて夢を実現した時に

「あの時の阿部さんが夢を実現したんだ。自分もがんばろうかな」

って思ってもらえたらうれしいですよね。

 

 

山本>

うんうん。

ちょっと話は変わりますけど、阿部さんに初めてお会いした時に

「すごく熱量のある人だな」って思ったんですよ。

 

 

阿部>

そうなんですか?(笑)

 

 

山本>

今までにお会いした人も割とそうなんですけど、

その中でもすごく熱量ある人だなって。

理路整然としているし。

その時の打ち合わせ後の感想としては

「なんかすごいな!」って感じたんですよ。

 

 

阿部>

そのまんまじゃないですか(笑)

 

 

山本>

そうそう、冗談抜きで。

僕らがチャレンジしている皆さんのことを伝えたいと

思っていることと阿部さんが思っていることはまったく同じなんです。

それを僕らはいろんな人のことを伝えるという立場で、

阿部さんはそれを体現する立場ですよね。

それをすることによって「もっと自由でいいでしょ?」

っていう感じの世の中に少しでもなればいいな、って思うんです。

それを感じてもらうため、

とっても分かりやすい人たちだと思うんですね、

冒険家の方々って。

 

 

阿部>

はい、自分たちはそういうことを伝えやすい立場にいると認識しています。

自分たち冒険家と呼ばれる人たちは多かれ少なかれ

命を張っていることに間違いはないですから。

 

 

山本>

話すことに圧倒的な説得力があるんですよね(笑)

 

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阿部>

そうかもしれないですね(笑)

 

 

山本>

本を読んで、とか、誰かに聞いて、とかではないので、

だからこそ純粋な子供たちにも伝わるんだと思うんです。

 

 

阿部>

それは思いますね。

目上の冒険家の方々と話すのと同じ気持ちかもしれないですね。

僕が恩師の大場さんや北極冒険家の荻田さんと話したら、

すご過ぎてもう何も言えないですからね(苦笑)

 

 

山本>

へぇ~(笑)

 

 

阿部>

皆さん説得力がありますよね。

行動とか体験に基づく本当のことですから。

 

 

山本>

そうですよね。

本当に行って見て感じて思ったことだから

何の嘘偽りもないし、リアルです。

 

 

山本>

南極では通信手段はどのようにするんですか?

 

 

阿部>

衛星携帯電話を使います。

 

 

山本>

ブログやFacebookとかの更新はどうやるんですか?

 

 

阿部>

パソコンは持っていくつもりなんですけど、

データ送信量が少ないので全部代理でやってもらう感じですね。

こちらからメッセージと写真を送って。

Facebookとかはたぶん開けないですね。だって2.4KB/sですから(笑)

 

 

山本>

そうなんだ(笑)

 

 

阿部>

画像とかもせいぜい100KBくらいに抑えて、

何とか見える程度の画質です。あとはメッセージです。

 

 

山本>

現地に行ってリアルタイムに更新されるのは

テキストで映像や写真は後ほど、って感じですかね。

 

 

阿部>

そうですね、写真も時々出せるんですけど、

実際にはすごくきれいな画像で出すことは難しいです。

可能性があるとしたら、南極点からは中継はできると思います。

 

 

山本>

南極点はバリバリ通信できるんですか?

 

 

阿部>

南極点にはアムンゼン・スコット基地(アメリカ)がありますから、

そこで許可を得ればできます。

ちなみに昭和基地はWi-fiありますからね。Skypeもできますよ。

 

 

山本>

アムンゼン・スコット基地は南極点そのものの位置にあるんですか?

 

 

阿部>

そうですね、ほぼその真横くらいにあります。

 

 

山本>

じゃあ、そこまで行けば何とかなるんですね。たどり着きさえすれば。

 

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阿部>

はい。そこまで行けば誰かいるし通信手段もあるから、

そこでサポートスタッフに待っててもらって

中継してもらうこともできるでしょうし。

撮影や中継スタッフが途中、同行されるのは

嫌だからやらないですけど。

「単独歩行」の定義がブレちゃうので。

荻田さんたちも同じですよね、冒険家としてのプライドもあるし。

 

 

山本>

それはそうですよね~。「単独」がポイントですもんね。

 

 

阿部>

後ろから撮影隊が付いてきているとか(笑)

 

 

山本>

やっぱり、何もしないにしても安心感がありますよね。

 

 

阿部>

実際に何もしないか?って言っても、たぶん何かしますよね。

 

 

山本>

何かトラブルがあれば絶対何かしますね(笑)

 

 

阿部>

そうそう(笑)

 

 

山本>

南極の冒険と北極の冒険って「極地」という意味では

似ているのかもしれないですけど、違いはどの辺にありますか?

 

 

阿部>

自然環境がまったく違いますね。

よく「海か大陸か」って言うんですけど、

氷床という陸の上に氷がある状態か、

海の上に氷がある状態かが違います。

最近では北極海の冒険の方が難しくなる傾向にありますね。

 

 

山本>

氷が少なくなっているからですか?

 

 

阿部>

そうですね。氷の割れ目が多くなってるし、

プレッシャーリッジっていって氷と氷がぶつかり合って

山になってるんですけど、それが激しい状態になっていたりします。

北極の氷はどんどん減っていて、3年連続で減っています。

沿岸は溶けているんですけど降雪量が多いから

結果的にそれが氷になって全体的には微増傾向です。

 

 

山本>

内陸を歩くのは結構大変なんですか?

 

 

阿部>

内陸は行っちゃえば楽に歩けるんですよ。

でも氷河は歩くのが大変になります。

雪も降るしクレバスもありますし。

北極と南極のどちらが難しいかは一概には言えない部分もあって、

北極海の方が難しい傾向にはあると思います。

それとね、南極には南極ハイウェーみたいなところがあるんですよ。

 

 

山本>

ハイウェーがあるんですか?

 

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阿部>

はい。

パトリオットヒルズというところに民間の基地があるんですけど、

そこからアムンゼン・スコット基地がある南極点まで

雪上車が通る道があってハイウェーみたいになっているんです。

そこは南極の一番簡単なルート(1,100㎞)です。

ここなら危険な所は比較的少ないですね。

それ以外のルートに行くと難しくなってきますね。

僕が行くルートは誰も言ったことが無いルートで、

氷河の上を歩かなくちゃいけなかったり、

南極横断山脈を越えなければいけなかったりするのが

ポイントになりますね。

 

 

山本>

南極横断山脈ってどのくらいの高さを超えていくんですか?

 

 

阿部>

もちろん鞍部(山と山の間)を行くんですけど、

それでも3,000m~3,500mくらいは越えるでしょうね。

南極点そのものが高さ2,850mくらいありますから。

 

 

山本>

そうなんですか!

 

 

阿部>

100mの大地の上に2,750mの氷がどーんと乗っかっていますから。

となるとそこから難しくなるのは、

南極の海岸から上まであがることなんです。

一応スロープになっているんですけど、

それを越えていくのがまた大変なんです。

だから南極を歩くってことは富士山の7合目辺りを

歩くようなものなんです。

 

 

山本>

重いソリを引っ張って。

 

 

阿部>

だから高い心肺機能は必要でしょうね。

結局一番警戒すべきは氷河を歩く時なんですよ。

クレバスもあるし。

その辺は極地研(国立極地研究所)とかのプロの方と

連携して衛星写真をチェックしたりします。

 

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第2回の雑談はここまで。

お話はまだまだ続きますよ〜。

 

第一回はコチラ↓↓↓↓↓

夢を追う男 阿部雅龍「白瀬中尉の遺志を継いで南極点へ」その1

http://docue.net/archives/contents/abemasatatsu_southpole_1

 

 

阿部雅龍 公式ページ

http://jinriki-support.com/abe/index.htmlo

 

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