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夢を追う男 阿部雅龍「白瀬中尉の遺志を継いで南極点へ」その1

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かつて冒険は、国家の威信をかけたプロジェクトだった。

1911年、人類ではじめて南極点に立った男、ノルウェーのロアール・アムンセン。

彼と争いながらも、すんでのところで先をこされたイギリスのロバート・スコット。

世界的に有名なこの極点到達競争と時を同じくして南極点を目指した日本人がいた。

白瀬矗。

残念ながら南極点には立つことができなかったものの、

彼の偉業は地元秋田では今でも語り継がれているそうだ。

そんな白瀬の遺志を継いで南極点を目指す若き冒険家、阿部雅龍。

ドキュウ!では阿部さんを追うドキュメンタリー映画を製作中です。

そんな阿部さんとの雑談対談の第一弾です〜

 

(文章・写真=池ノ谷英郎/聞き手=山本喜昭/撮影協力=マウンテン

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山本>

いやあ、突然ですが阿部さんも若く見えますよね。

チャレンジしている人は年を取らないのかなぁ(笑)

割と自分で判断して生きている人って

変なストレスが無いんだと思うんですよ。

違ったストレスはもちろんいろいろあるんでしょうけど。

生命力が違うのか活性化されるのかもしれません。

 

 

阿部>

何でなんですかね。若々しい方が多いですよね。

生命力にあふれていると言うか。

 

 

山本>

阿部さんもパッと見は20歳代前半にも見えますけどね。

 

 

阿部>

25歳くらいに見えるとはよく言われますね。

 

 

山本>

冒険で旅をしているともっと若く見られるんじゃないですか?

 

 

阿部>

外国は特にそうですね。

カナダとかでお酒を買おうとするとパスポートが無いと

(年齢証明をしないと)絶対に買わせてもらえないです(笑)

南米へアマゾン川下りに2年前に行ったんですけど、

高校生とか18歳くらいに思われちゃいました。

まあ、得と言えば得なんですけどね(笑)

 

 

山本>

お酒は飲むんですか?

 

 

阿部>

お酒は飲みます。適度に(笑)

 

 

山本>

結構Facebookとかを見ていると、相変わらずストイックに

トレーニングをしてらっしゃるなと思うんですけど(笑)

 

 

阿部>

そうですね、もっとやりたいんですけどね(笑)

なかなか…全然足りてないんです。

 

 

山本>

それは2017年の南極に向けてですか。

トレーニングがお好きなのもあるんですかね。

 

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阿部>

しっかりとトレーニングの時間を取れないと、

現地に行ったときに自分を信じられないってこともあるんですよね。

やっぱりベースに体力が無いと。

極地をずっと歩くのは体力勝負なので、

そこを信じられるものが無いと。

 

 

山本>

やはりベースにしっかりしているものがあると、

ピンチになった時に精神的に安定するというのがあるんですね。

 

 

阿部>

自分を信じられるというのはありますね。

 

 

山本>

それはもう、最初の冒険の時から感じていたんですか?

 

 

阿部>

そうですね。南米の自転車の旅からです。

もともと大学から空手をやっていたので、

それで作った肉体がベースにありますね。

その時は1日7~8時間くらい空手をやってたんですよ。

その時できた体作りはいつも意識していますね。

 

 

山本>

なるほど。今はどういうトレーニングをしているんですか?

 

 

阿部>

まずベースは人力車ですね。

あとは、最近やっているのは自重のトレーニングです。

 

 

山本>

じじゅう、とは?

 

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阿部>

自重というのはバーベルとかを使わずに、

自分の重さだけを使って腕立て伏せとか

懸垂とかをやっています。

あとは体操の教室に通ってバック転とかバック宙とかを

やっています。

あれは真っ直ぐな体の軸を作るのにすごく役立っているんです。

 

 

山本>

へぇ~。やっぱり冒険にも体幹トレーニングって重要なんですか?

 

 

阿部>

大事ですね。僕は右肩下がりなんですけど、

それだと右足の故障が多くなるんですよ。

 

 

山本>

あ、そっか。長期間歩いたり動いたりしているから余計にそうなるんですね。

 

 

阿部>

年に数回は整体に行って骨盤の位置とかも直してますし、

出来るだけ真っ直ぐな体作りを心掛けていますね。

 

 

山本>

今、一番目標にしているのが2017年の南極ですよね?

 

 

阿部>

そうですね、南極です。

 

 

山本>

前回お会いしてから「白瀬中尉」のことを

ちょっとだけ調べてみたりしたんですけど、すごい人ですよね。

 

 

阿部>

すごいですよ。

当時は明治時代の終わり頃で、

日本人で冒険家・探検家が結構出た時代なんです。

(白瀬中尉と)同じ秋田でも多田道灌(ただ・とうかん)

という人がいるんですけどご存知ですか?

 

 

山本>

いや、知らないです。

 

 

阿部>

河口慧海(かわぐち・えかい)は?

 

 

山本>

知ってます。

 

 

阿部>

あと、シベリアを馬で横断した日本人がいたりとか。自転車世界一周とかもその当時にいましたから。

 

 

山本>

その当時に自転車世界一周をしているんですか!

 

 

阿部>

どういうルートで走ったのかは分からないですけどね。

僕もその本を探しているんですけど

まだ見つからないんです(笑)

 

 

山本>

あ、ちゃんと本はまだ残っているんですね。

 

 

阿部>

残っているみたいです。そういう人たちが多数出た時代ですね。

 

 

山本>

白瀬中尉は同じ秋田出身ということもあるんでしょうけど、

いつ頃からフォーカスし始めたんですか?

 

 

阿部>

彼のことを知ったのは小学校の低学年くらいからですね。

 

 

山本>

それは本を読んで?

 

 

阿部>

本を読んでです。

当時僕が読んでいた本にマンガで読む歴史とかの冒険版があって、

コロンブスとかスヴェン・ヘディンとか

間宮林蔵(まみや・りんぞう)とかが集まった中で、

一番最初が南極だったんです。

そこに載っていたのがアムンセンと白瀬中尉で、

「秋田県出身の日本人でこんなことをやった人がいるんだ」

って思って以来ずっと覚えているというのがベースにありますね。

 

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山本>

ちょっと話ずれますけど、「マンガで読む冒険家」を作ってみたいですね。

現代版で(笑)

 

 

阿部>

現代冒険家で(笑)それはいいですね。

子供たちはもちろん、大人にも見てほしいですね。

生き方にフォーカス当てたりして。

 

 

山本>

そうですね。

 

 

阿部>

いろんな色のある人たちがいますからね。

 

 

山本>

色があり過ぎるくらいありますからね、皆さん。

えーと話を戻して、その小学校で白瀬中尉を知って、

そこからは特に無かったんですか?

 

 

阿部>

そうですね。

それからはただ冒険系が好き、というくらいの時期が

ずっと続いていたんですけど、大学で就職活動をしている頃に

休学して大場満郎さん(極地冒険家)の所へ行くというところに

つながっていくんですけどね。

 

 

山本>

なるほど、大場さんも極地冒険家だし、

それで幼少の頃に読んだ白瀬中尉の記憶が戻ってきたわけですね?

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阿部>

大場さんが北極や南極に行っていたものですから、

それを知って冒険学校に行っているうちに

白瀬中尉の記憶も戻ってきたんです。

数年前、白瀬中尉が初めて南極に行って

100周年だったんですけど、僕は22~23歳の時に

そのタイミングで南極に行けたらいいな~って

思っていたんです。

結局まだ実力が無かったしタイミングも合わなくて

実現できなかったんですけどね。

大場さんの所に通っているうちに

その気持ちがよみがえってきましたね。

 

 

山本>

冒険家はみんな多かれ少なかれそうだと思うのですが、

白瀬中尉もすごくお金で苦労したみたいですね。

 

 

阿部>

そうですね、今に換算すると帰ってきた時に

2億円くらいの借金があったみたいですね。

 

 

山本>

あ、そんなにあったんですね。

今の円(価値)でしか書いてないじゃないですか。

文献とか見ても。

 

 

阿部>

当時、数万円らしいですけどね。2万円だったかな。

事務局があってそこが飲食代とかで冒険のお金を使っちゃって、

それでお金が無くなっちゃったらしいですよ(笑)

出発前には割と十分なお金が集まっていたみたいです。

 

 

山本>

寄付金を集めたんですね。

今でいうクラウドファンディングですよね。

 

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阿部>

簡単に言うとそういうことですね。

彼は今の冒険家のスタイルの走りでもあるんですよ。

かつての冒険家、アムンゼンもスコットも

国から援助を受けていましたから。

白瀬さんは民間人として言ってますから。

しかも彼、「中尉」って言ってますけど軍隊も辞めていましたから(笑)

 

 

山本>

行くときは既に辞めていたんですね(笑)

 

 

阿部>

そうそう、とっくに辞めていて軍人ではなかったんです。

ただ本人は軍人に誇りを持っていて、

軍服を着て刀を差していたんです(笑)

 

 

山本>

そうなんですね。

 

 

阿部>

すごいことですよね。

今の冒険家の走りを当時からやっていたわけですから。

だから彼自身は軍人のような朴訥(ぼくとつ)な

イメージがあるんですけど、人を魅了する力が

すごくあった人なんだと思うんです。

 

 

山本>

彼の行動が当時の日本社会に熱狂を与えたんですね。

阿部さんは、南極に向けてですが、

これからどういう計画で行く予定ですか?

 

 

阿部>

ソリとか装備類のテストなどもやってからグリーンランドを歩いて

(2016年4月5日現在グリーンランド単独徒歩の冒険中)

2017年に南極に行こうと思っています。

徐々にステップアップして、実力とともに

冒険に関する組織も作っていきたいとは思っています。

 

 

山本>

装備も大変ですよね。

 

 

阿部>

そうですね、装備はアウトドアメーカーさんに

開発してもらっているんです。

ファイントラックさんとマウンテンダックスさんに

特殊なテントなどを作ってもらっています。

あと、モチヅキさんにはストーブなどの装備品を支給してもらっています。

 

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第1回の雑談はここまで。

お話はまだまだ続きますよ〜。

 

阿部雅龍 公式ページ

http://jinriki-support.com/abe/index.htmlo

 

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