日本語でいうとテツガクですな。
よく経営用語で企業理念とかミッションとか、ビジョンとか
いろいろな会社にとって大切なコトが言われる。
あと、会社の在り方とか、法人の人格とか、存在意義とか、
それらのなんだか企業の真ん中にくるようなコトを
ひっくるめたものがテツガクなんだと思う。
それは目的でありプロセスでもある。
売り上げとか利益だとかは確かに大事だとは思うけれど、
あくまでそれはテツガクした結果だ。
昨今は、今だけ結果だけ数字だけを求められる。
どんどんそうなってる気がする。
だから大事な部分が欠落しているコトが結構あると思う。
大企業とか特にそう思う。
結果だけでもダメ、プロセスだけでもダメ。
どっちかとかは本来ない。
だって物事はぜーんぶ続いてる。
だから丸ごとテツガクしないと。
なんて言ってるけど、お前はどうなんじゃい!オラオラオラ。
と言われるとひとたまりもないのだが、
誰がなんと言おうとフィロソフィーは重要だと思う。
先日、パタゴニアの大崎店にて行われた映画の試写会に行ってきた。
「UNBROKEN GROUND」というショートドキュメンタリーフィルムだ。
社会には今変化が起きている。
人々はよりシンプルな生活を求め、
昔のように本物の食事を欲し、
自分の庭に植物を植え、
食品がどこからやってくるのかを知りたがっている。
よりシンプルな暮らしとは貧しい暮らしのことではない。
それはずっと豊かな暮らしなんだ。
これはパタゴニアの創始者であるイヴォン・シュイナードの言葉である。
これには、人それぞれ違う意見があると思うけれど、
こういう人が増えてきているのは肌感覚だが確かに感じる。
環境問題や、原発を代表するエネルギー問題、そしてきわめつけはTPP。
シンプルな暮らしと真逆の問題が浮き彫りになってきているのは、
ある意味、転換点にきている証拠だとも思う。
ある一定の数の人が気づくまで次から次へと起こるのだと思う。
ということで、企業は、自分たちの結果=利益だけを考えて
政治献金を奨励してる場合なんかじゃなくって
地球上で次々おこっている問題を真剣に考えて
テツガクするべきだと思うのだ。
誤解を恐れずに言うと、NGOに寄付したり植林したりとかの
いわゆる社会貢献活動だけしてちゃあダメだ。
自分たちは社会の未来に一体何ができるのか。
そういうことに立ち戻って、胸に抱きしめて行動しないと。
パタゴニアは、patagonia PROVISIONSという食品ブランドを立ち上げている。
旅先で出会った本当にすばらしい食の伝統と文化を大切にする想いと、
「最高の商品を作り、環境に与える不必要な悪影響を最小限に抑える」という
目標を掲げて始まったらしい。
パタゴニアのフィロソフィーは「ビジネスを手段として環境危機に警鐘を鳴らし、
解決に向けて実行する」だ。
ちなみに言っておくが、このブログは記事広告でもステマなんでもなく、
本当にいいと思ったから試写会に参加して買いている。
アウトドア企業は、どこも環境への負荷軽減などいろいろ活動している
とは思うが、ここまでフィロソフィーをもって行動しているところは
本当に貴重だと思う。
アウトドア企業にかぎらずそれぞれの分野ですべての個人、法人が
少しでもアクションしていくと世の中は大きく変わりそうだ。
そんな希望を改めて持てた。
ネタバレになるので控えるが、映画では、
アメリカでの様々な先進的な農業、酪農、漁業を取り上げている。
いわゆる工業的食品産業であるメガ農業で行われている農薬、遺伝子組み換え、
化学肥料、動植物を効率化により工業材料的に扱う工場生産などとは
真逆の取り組みである。
土壌を守る小規模な無農薬有機栽培の麦の品種改良や、
牛でなく、もともとその土地に暮らしいたバッファローを放牧する酪農、
むやみやたらに根こそぎ捕獲する漁や養殖ではなく、
人力で必要な分だけ獲るサケ漁などが映し出されて従事するそれぞれの
人たちがインタビューされている。
これらの漁で捕られたサケで作られたPROVISIONの食品の試食もあったのだが
味も非常に美味しかった。
これって、宣伝映画をつかったプロモーションじゃないの?
なんて声も聞こえてきそうだが、今ほとんどの企業がやってるのとは
違うと思う。
やたらと性能や値段や競合他社との違いを訴えて
ほらほらほらほら、あなた買いたいでしょ、とっても買いたいでしょ。
なんていう無理やり需要をつくるような宣伝にいつからなったんだろう。
だって本来は、人々に必要だったり、楽しませたり、本当に喜ばれる
モノを提供することが本当のシゴトだ。
それを必要な人に届けるのはすごく当たり前なのだ。
そのための宣伝は歓迎したいし、そんなブランドを応援したいと思う。
環境や食などを大切にすることは本質的な”生きるチカラ”の探求でも
あるのだから。
(文:山本喜昭)